1月11日土曜日、大学での授業が終わった後、新宿駅近くの椿屋珈琲店新宿茶寮にて、キャリアに関するインタビューを行いました。今回のお相手はIBM時代の同僚で、歴史小説家に転身され大成功を収めている伊東潤氏。

昨年は吉川英治文学新人賞等の主要文学賞3冠達成。そしてなんと来週16日は第150回芥川賞・直木賞の選考会。伊藤氏にとって4回目の直木賞候補とのことで、素晴らしいタイミングでの再開となりました。

ガイド:伊東さん、ご無沙汰しております。IBM時代以来、20年ぶりの再会でしょうか?僕は入社当時から目立っていた伊東さんに対し、「何かしでかしそうだな」という期待感を持っていました(笑)。まずはIBM以降のキャリアの軌跡をお教えいただけませんか?

能力や適性を活かした仕事に辿り着けるかどうかがキャリア構築では重要です

能力や適性を活かした仕事に辿り着けるかどうかがキャリア構築では重要です

伊東氏:IBM社には10年弱在籍し、相応の経験を積んだ後、より業務コンサルティング的な仕事をしたくなり、ERP(企業全体を経営資源の有効活用の観点から統合的に管理し、経営の効率化を図るための手法・概念、およびこれを実現するITシステムやソフトウェアのこと。)では有名なSAP社(世界で第3位のソフトウェア企業で、特に大企業向けのエンタープライズソフトウェア市場においては圧倒的なシェアを持っている。)に転職しました。その後、ヘッドハンターの誘いもあり、ERPベンダー数社でトップマネジメント経験をしたのちにパートナーと独立しました。

ちょうど35歳の頃、これまでの自分自身を振り返り、組織で目標を達成していくようなライン管理職の仕事よりも、自分の技量のみを頼りにした自己完結的・エキスパートな仕事に適性があることに気づきました。

ガイド:確かに、僕もそう感じます。(笑)

伊東氏:業務コンサルタントという仕事は、自分の腕が問われる自己完結的な仕事なので、天職かと思ったのです。うまく事業は立ち上がり、業績も順調に推移したのですが、2008年秋のリーマンショックで、運悪く全ての顧客を同時に失いました。

部門や現場とのやりとりをする業務コンサルティングは、構造的に見れば、経営の中枢とやりとりする戦略コンサルティングの下流に位置するので、コストカットをするとなると、どんなに実績を上げていようが、真っ先に契約を切られるのだと知りました。

ガイド:修羅場を経験されたのですね。

伊東氏:大したことではありません。それより歴史小説家への歩みですが、2002年頃、当時、流行っていた歴史研究のホームページを創ることを試みました。ところが、どうにも文章が小説のような形となってしまうのです。

それで小説を書きだしたところ、とてもうまくいき、2007年に角川書店からデビューできました。コンサルタントの仕事は、クライアントと契約しないと収入になりませんが、雑誌に寄稿する仕事は、即金が入りますので助かりました。

兼業の時代の2007年~3年間は年1冊のペースで書き下ろし、専業となった2010年からは、年3~4冊ペースで書き下ろしています。