オデットとオディール、小野さんはどちらの方が踊りやすいですか?
小野>クオリティだけで言ったら、オデットの方が大変です。特に難しいのは、やはり最初の登場の場面ですね。テクニック面では、オディールの方が苦手です。回るの大嫌いなので、なんで32回も回るんだろうと思って(笑)。ただ演じやすさで言えば、オディールの方が色がつけやすいというのはあります。といっても、その色が正解かどうかは全然わからないですけど。それにオデットの表現に対してあるのがオディールなので、オデットのビジョンがもっとはっきり出てこないと伝えるのは難しいなと思っています。オデットとオディールの演じ分けに加え、ひとり二役を踊るのは体力的にも大きな負担がかかりそうですね。乗り切るためにしていることは?
小野>体力は貯金できないので、ひたすら練習するしかないですね。やっぱり踊り込むというのは大切で、ちょっとずつはラクになるので。“序盤だからここは体力温存しとこう”ということは絶対になくて、ちゃんとひとつひとつこなしていく感じです。だから、いつも限界を超えています(笑)。新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』
2012年公演より 撮影:瀬戸秀美
白鳥ならではの動きを会得するためにしていること、
何かイメージしているものはありますか?
小野>白鳥の腕の動きに関しては、先生方に毎回丁寧に指導していただいています。あと私にとってすごく印象的だったのが、研修生時代に受けた授業『バレエと音楽』でのこと。先生が“あれは白鳥と言ってるけど丹頂鶴の方がイメージがあってる”というようなことをおっしゃっていたんです。それを聞いたとき、“確かに!”と思って。だから私の中では白鳥というよりも、丹頂鶴のイメージが強いんですよね(笑)。新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』2012年公演より 撮影:瀬戸秀美