起業・会社設立のノウハウ

個人事業、免税事業者は消費税を請求していいの?

最近、何かと話題の消費税。起業したばかりの人が向き合うことが多い話題でもあります。特に免税事業者が消費税を請求してもいいのかどうか、最初にぶち当たる疑問でもあります。この点をわかりやすく解説していきます。

中野 裕哲

執筆者:中野 裕哲

起業・独立のノウハウガイド

起業したばかりの人が、気になる消費税の疑問

増税で最近、何かと話題の消費税。これから起業する人、起業したばかりの人にも消費税は大いに関係してきます。特に悩むポイントは、免税事業者が消費税を請求しても良いのか?消費税は請求しないのが正解なのかというポイント。このモヤモヤについてわかりやすく説明していきます。

基本の確認~「消費税」ってどんな税金?

免税事業者は消費税を請求できるか??誰もが悩むポイントです。

免税事業者は消費税を請求できるか??誰もが悩むポイントです。

消費税の基本を確認しましょう。消費税は、商品・サービスや固定資産などの譲渡に対して課税される税金です。納税するのは事業者ですが、実際に消費税を負担するのは商品・サービス等の提供を受けた消費者です。

■事例で考えてみよう
ものすごく単純化した事例で考えてみましょう。実際の税額計算方法はもっと複雑ですが、理解を深めるため単純化しています。ご了承ください。消費税率は8%とします。

1.ホームページ作成請負を個人事業で営んでいるAさんは、お客様から税抜200,000円でホームページの作成を受注しました。

■売上の請求は
本体200,000円+税16,000円=216,000円

2.実際の作成業務の一部は外注業者Bに税抜100,000円で発注しました。
■支払った外注費は
本体100,000円+税8,000円=108,000円

3.他に事務所家賃や電話代などの諸経費が税抜70,000円かかりました。1年間で上記の売上、経費しかかからなかったと仮定します。

■支払った諸経費は
本体70,000円+税5,600円=75,600円

4.この場合の納める消費税額は?
16,000円-(8,000円+5,600円)=2,400円

売上で預かった16,000円から外注原価と諸経費で支払った13,600円を差し引いた2,400円を税務署に納める。これが消費税の基本です。

よくある勘違いとしては、お客様から預かった消費税を、そのまま国に納めなければならないというイメージ。上記の例でいうと16,000円をまるまる納めなければならないという勘違いです。これは認識が違いますので、ご注意ください。

免税事業者という制度がある

このように事業者が国に納める必要がある消費税。ただ、一定の条件のもとに納税が免除される場合があります。その対象となった事業者を免税事業者といいます。

■課税の免除とは
1)基準期間の課税売上高が1000万円以下
2)特定期間の課税売上高または給与支払額が1000万円以下
の小規模事業者は課税事業者になることを自ら希望しない限り、免税事業者となります。

※基準期間とは、個人事業主は前々年、法人は前々事業年度
※特定期間とは、個人事業主は前年1月1日から6ヶ月間、法人は前事業年度開始の日から6ヶ月間

■免税期間は必ずしも2年ではない
従来は個人事業主は開業年とその翌年、法人(事業年度開始日の資本金または出資金が1000万円未満の法人)は設立した事業年度と翌事業年度については、自ら希望しない限り、自動的に免税事業者となりました。基準期間が存在しないからです。

ただし、平成25年1月1日から消費税の免税制度が変わり、上記の特定期間の判定も加わりました。そのため、2年目または2期目は必ずしも免税になるとは限らないことになりました。先輩経営者やWeb上の情報には古い情報が混ざっている可能性があるため、注意が必要だといえるでしょう。

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