事業主借・事業主貸ってどんな勘定科目?
事業主借、事業主貸もシンプルに考えれば簡単!
まず、おおまかな意味合いとしては以下のように捉えてください。
■事業主借
個人事業主がプライベート用のお金を事業用に使ったときの勘定科目
■事業主貸
個人事業主が事業用のお金をプライベート用に使ったときの勘定科目
勘定科目名に「事業主」という言葉と、「借」「貸」という言葉が入っているため、言葉の意味だけから理解しようとすると余計にわからなくなります。また「借方」、「貸方」という右と左を表す簿記用語とこんがらがってしまう人もいるかと思います。そのため、言葉の意味は無視してください。シンプルに上記の意味合いだけを覚えるのが理解のコツです。
使用例
論より証拠です。実際の使用例を見ていきましょう。1.コンビニで事業用のペン100円(税込)をポケットマネーで買った。
消耗品費 100 / 事業主借 100
2.生活費として事業用口座から10,000円を引き出した。
事業主貸 10,000 / 普通預金 10,000
3.事業用口座の残高が不足してきたため、生活費用の現金20,000円を事業用口座に入金した。
普通預金 20,000 / 事業主借 20,000
4.事業用口座から自宅兼事務所の家賃100,000円を支払った。なお、事務所部分25%、自宅部分75%で計上している。
地代家賃 100,000円 / 普通預金 100,000円
・決算時に自宅部分を差し引く
事業主貸 75,000円 / 地代家賃 75,000円
紛らわしいケース
以下のケースは紛らわしいので注意しましょう。5.国民年金保険料15,000円を事業用の口座から支払った。
事業主貸 15,000 / 普通預金 15,000
※国民健康保険料、国民年金保険料などは、事業所得の計算を行う会計の世界ではなく、確定申告時の所得控除で別計算をします。そのため、会計の世界ではプライベートな支出として捉えるためです。
6.事業用口座に預金利息80円がついていた。銀行からの明細を確認したところ、所得税15円、住民税5円が天引されている。
普通預金 80 / 事業主借 100
事業主貸 15 /
事業主貸 5 /
または
普通預金 80 /事業主借 80
※事業用に使っている銀行口座の預金利息についても事業主借、事業主貸勘定を使用します。事業用の口座のため、受取利息などの科目を使用したくなりますが違います。税務上、個人が受け取る利息は事業所得の世界ではなく、利子所得として別で認識することになっているためです。天引された所得税、住民税も同様です。
7.確定申告の結果、所得税50,000円を口座振替で納税した。
事業主貸 50,000円 / 普通預金 50,000円
※所得税は事業所得の必要経費になりません。そのため、事業所得を計算する会計の世界ではプライベートな支出として扱うためです。
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