きちんと労働条件を明示することの重要性

最初が肝心、労働条件をきちんと明示し無用なトラブルを避けましょう

最初が肝心、労働条件をきちんと明示し無用なトラブルを避けましょう

労務管理のスタートは、採用時の労働条件の明示から始まります。その明示が口頭でなされると契約内容が曖昧になる恐れがありますね。その後のトラブル発生が予見されてしまいます。

法的には、使用者には労働条件の明示が義務づけされ(労働基準法第15条第1項)、労働契約内容についてできる限り書面により確認するもの(労働契約法第4条第2項)とされています。

今回の記事で、労働条件の明示方法と内容をしっかり押さえておきましょう。抜け落ちていたり誤解していた項目があった場合は即対応することです。具体的な書式を次ページで解説いたしました。活用(加工)し自社版を作成しておきましょう。


労働条件明示は、書面の交付・口頭で行います!

労働基準法第15条により、労働契約の締結に際し、従業員に対し労働条件を明示しなければなりません。口頭でもよいものと書面の交付が必要なものの2種類があることを確認しておきましょう。明示すべき労働条件は次のとおりです。

■明示すべき労働条件は、以下の 1~13
(労働基準法第15条、同法施行規則第5条第1項)


【書面交付が義務づけされている事項】

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  3. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  4. 賃金(退職手当及び7.に規定する賃金を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

1.から5.までは正に基本的労働条件そのものですね。これは必ず書面交付しなければなりません。但し4.の「昇給」は書面交付は義務付けされていません。

【定めをしていない場合は明示しなくてよい事項】

   6. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
   7. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与などに関する事項
   8. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
   9. 安全及び衛生に関する事項
  10. 職業訓練に関する事項
  11. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  12 表彰及び制裁に関する事項
  13. 休職に関する事項

いかがでしょう。皆さんの企業ではきちんと明示できていましたか。また6~13は義務付けされていませんが、ぜひトラブル回避のため書面交付をお勧めします。


就業規則との関係はどうなるの?

またここで疑問に感じるのは就業規則との関係でしょう。実は、就業規則に労働条件が具体的に規定されている場合には、労働者に就業規則を交付すれば、再度同じ事項については書面を交付する必要はないとされています(平11.1.29基発第45号)。注意すべきは、労働契約期間と就業場所・従事する業務の明示です。実務上は、就業規則と伴に書面を交付することで万全を期しておきたいものです。


期間雇用従業員の労働条件明示に要注意!(平成25年4月1日より)

書面の交付によって明示しなければならない事項に、「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準」が追加(労働基準法施行規則第5条)されています。期間雇用の従業員がいる企業では注意が必要です。
(次ページの書式にてチェックしてください)
  • 「契約更新の有無」
  • 「契約更新の判断基準」

パートタイム労働者等の労働条件の明示

パートタイム従業員を雇い入れる際には、労働基準法で定める事項のほかに、
  • 「昇給の有無」
  • 「退職手当の有無」
  • 「賞与の有無」
書面等により明示(当該従業員が希望すればファクシミリや電子メールによる明示も可)しなければならないことに注意が必要です(パートタイム労働法第6条第1項、同法施行規則第2条)。こちらは次ページの書式にてチェックしてください。

次のページでは、即時解除権、労働条件明示の書式の解説をしています。