野菜が奏でる料理の舞台を満喫
今回私がいただいたのは、ディナーの「シェフのおすすめコースB(7,000円)」。彩り豊かな野菜で構成されたドラマチックなオードブル「セイボリー・野菜劇場のオードブル」
中央の野菜のテリーヌだげても、ズッキーニ、冬瓜、トマト、パプリカ、なす等と盛りだくさん。
周りには、ナスのペースト、ゆりねのジュレ、小芋、アンディーブ、ラディッシュ、小玉ねぎ、アイスプラント、黒にんにくなどが、お皿の中でそれぞれの風味をアピールしていました。
食べ終えた頃に、揚げ立てのエシャロットといちじくのフリットが提供され、サービスの心遣いが嬉しい野菜の劇場でした。薄味でシンプルですが、それぞれに相性のよいソースなどを組み合わせ、表情豊かな野菜の個性が楽しめます。
例えば、アイスプラントは、ユニークな野菜ですが個性が強く、これまでガイドにはあまりよい印象はありませんでした。しかしこのお料理では、梅肉のソースが添えられ、アイスプラントの個性をカモフラージュしつつ、梅肉の香りやシャキシャキとした歯触りが楽しめ、とても魅力的な組み合わせだとイメージアップされました。
「ジャンボマッシュルームに詰めた鮑の香味焼き」。鮑とジャンボマッシュルームのコンビネーションが絶妙です。
ソースには鮑の肝が使われていますが、にんにくの風味をうまく効かせて磯臭くなく、肝の旨味がプラスされていました。
パンは、バゲットとポテトのパン。ポテトのパンは、じゃがいも入りの生地に塩をしっかり効かせ、外はサクッと、中はしっとり。他にはないような印象深いパンでした。
「聖護院かぶらのシャツを着たハタとズワイガニのコンソメ蒸し」。聖護院かぶらの甘みが、ふんわりハタやカニの旨味を包み込んでいます。
ふわっと身離れのよい脂ののったハタと、ズワイガニの旨味を、薄くスライスした聖護院かぶらで覆い包まれ、おろしかぶらのとろみのあるスープとともに、いただきます。
かぶらの甘味、柚子の香りが、ほっこりと体を芯から温めてくれるようでした。
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