ストレス/人間関係・人付き合いのストレス

「本音」と「建前」のダブルバインドが生む対人不安(2ページ目)

大人の会話によく見られる「本音」と「建前」。これが、受け手にとっては非常に大きなストレスになることがあります。そうした「ダブルバインド」を理解し、受け手に優しい会話を目指しましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド


ダブルバインドは、子育てには危険!

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「お母さんの本音ってどっちなの?」と迷い、立ちすくむ子どももいる

とはいえ、こんな高度なコミュニケーションは、人づきあいの機微に長けた大人だからこそ対応できるもの。小さな子どもには、その複雑な心境を理解できず、ダブルバインドに縛られ、不安を抱えてしまいます。

たとえば、お母さんに「こっちに来て遊んだら?」と言われたので、お母さんに近寄って甘えようとしたら、「もう、あっちに行ってよ!」と怒られるケース。児童虐待をしてしまうお母さんと子どもの関係にも、しばしばこうしたやりとりが見られます。

大人の目から見れば、このお母さんの気持ちをなんとなく察することができます。本当は疲れていて休みたいのに、「いいお母さんでいなければ」と頑張って子どもと遊ぼうとする。でも、疲れから苛立ちが押さえられなくなって、つい怒りをぶつけてしまう。そうして、子どもにダブルバインドを与えてしまったのだろうと想像できます。

でも、人生経験の浅い子どもにはそんな大人の心理を想像し、「お母さん、疲れてるんでしょ? あっちで遊ぶから、ゆっくり休んでね」などと、器用に配慮するなんてまず無理です。ただダブルバインドに苦しみ、「お母さんの気持ちが分からなくて、怖い」と立ちすくんでしまいます。こうしたダブルバインドを受け続けた子どもは情緒的に混乱し、他人を信頼することができなくなってしまうこともあるのです。


気遣いのつもりがストレスを与えていませんか?

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「本音」と「建前」の使い分けが、受け手にはストレスになることもある

相手を気遣って、「本音」を隠して「建前」で話してみても、人によってはその複雑なメッセージがダブルバンドとなり、疑心暗鬼が募ったり、対人不安に陥ってしまうこともあります。特に、子どもには非常に危険です。

気遣いのつもりが、相手にストレスを与えてしまっては元も子もありません。何気なく投げかけている言葉が、そんな火種を生んでいないか、心当たりのある方は、一度振り返ってみるのもいいかもしれません。
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