高級マンションのペントハウス
大規模マンションの販売センターは、少なくても2タイプ、多い場合であれば5タイプほどもモデルルームを用意する。角住戸と中住戸、広い面積からコンパクトタイプまで。カラーバリエーションもそれぞれを披露することで、好みや予算などできるだけ幅広い顧客層に対応するためだ。しかし、ほとんどの現場で最上階の最も広い、最高額住戸を設営候補に選んでいる事例が少なくない。たったひとつしかない特別仕様の、しかも(それは往々にして億ションであることから)購入可能な検討者が限られているにもかかわらず、である。青田売りのモデルルーム設営趣旨とはある意味正反対の現象がまかり通っているのはなぜだろう。
理由は明快。ペントハウスがその物件のシンボル(象徴的な位置づけ)になるから。一番の部屋がどれくらいの広さでどんなグレードか。もし仮に自分のマンションの最上階が東京で最も専有面積が大きい、または分譲価格が過去最高である、となったらどうだろう。あなたが(区分)所有する建物はまたたく間に噂となり、世間の注目を集めるに違いない。
天井が高い
さて、そんな物件の象徴ともなり得るペントハウスに求められる条件は何だろう。「最上階」で「最大面積」「最高額住戸」であればどれもが該当するのか。そんな単純ではないはずだ。ペントハウスと呼ぶに相応しい条件を3つに絞って洗い出してみよう。まずひとつは、天井が高いこと。高さ制限に縛られる地域が多いなか、マンションの天井高はたいていが2.4m~2.55m程度。ゆったりとした大きなリビングルームを有する住戸ともなれば、縦のバランスを考えるならそれでは少し窮屈に思うかも。ボリューム感のある海外ブランドのソファも同様の印象を与えかねない。
現実に、最上階だけは0.2~0.3m天井を上げて作り込んでいる場合が多い。ペントハウスは入った瞬間に違うと思わせるのは天井高の差によるところが大きい。埋め込み式のエアコンや構造梁、ダウンライトなど凸凹の激しい天井もストレスの原因になることがある。だから極力フラットであることも理想。さらに加えるとするならば、折り上げ天井の場合家具の配置がイメージしやすかどうか。