視線は20人のこどもを見まわすように左右に振るのが正しいのか
ご自身が、本当に目の前に子どもたちがいるかのような気持ちになりきって、子どもたちを自然に見まわしたり、おはなしを伝える動き・表情になるよう、練習しましょう。ただ作業的に規則正しく顔を左右に振るという動作になってしまうと、まるでロボットのようでとても不自然で、あまり良い評価にはならないでしょう。ご自身の実技をぜひ録画して、客観的にチェックしてみてください。試験では、受験者の前方30cm~50cmの左右に子どもの絵を貼った椅子(小さな台)が用意されます。その目印の範囲内に20人の子どもが座っていると想定して、本当に子どもがいるつもりになって子どもの目を見て話しましょう。
『顔を左右に振っているから合格・振っていないから不合格』という機械的な採点ではありません。あくまでも『子どもたちに伝える力・お話の表現力・表現技術』を見る試験です。
視線は床に座っているこどもたちを想定して下を向いて話すのが正しいのか
視線を下に向けると、採点委員から見た場合、目を閉じているように見えてしまう人も少なくないです。そのようになってしまうと、お話を表現するための表情も見えないですし、採点委員から目をそらしているだけのようにも見えますので、単に下を向くだけでは、良くないと思います。やはり、子どもたちの目を見て話しかける演技が必要になります。これまで、私の主催する言語講座の受講者の実技を多数見てきましたが、高評価で合格された方は、視線も表現の要素として上手に使っています。
たとえば遠くの方に向かって「あ!きつねだ!」と叫んだりする場面では実際に遠くを見て叫びますし、空に向かって「コケコッコー!」と鳴くときは実際に空を見上げます。悲しい気持ちでしょんぼりとつぶやく場面では、自然にうつむきます。このうつむく表情はお話の内容の表現としてうつむくのであって、相手から目をそらしたり無表情なのとは全く意味合いが違うということは、理解できますよね?それは聴き手である子どもたちや、この試験の採点委員にもしっかりと伝わります。
このように、視線を上手に使ったお話は、聴き手である子どもたちの想像力をかきたて、ぐいぐいとお話の世界に惹きこみます。そして保育者と子どもたちが最後まで一緒にお話の世界を楽しむことができるのです。
その結果として、言語表現の出題内容である『集中して聴けるようなお話を行う』ことができているという評価につながるのです。
いかがでしょうか?細かい部分で迷った時は、ぜひご自身の実技を録画してみることをおすすめします。子どもたちに話しかけている先生の姿をイメージしながらチェックしてみるとよいと思います。
■こちらも参考に……
保育士試験 実技(4) 言語―試験に適した題材の紹介
保育士試験 実技(7) 言語―台本作成のポイント