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保育園で働く自分をイメージしてみよう!

保育士試験・実技は、独学の受験者が最も情報を必要としている科目だと思います。ネットで検索しても、受験者の体験談や噂話がほとんどで、確実に信頼できる情報になかなかたどり着けないのではないでしょうか?そんな不安を解消する助けになればと思い、今回は実技試験のねらいや合格率について書こうと思います。

試験のねらいと求められる技術レベル

実技試験は、
  • 音楽表現に関する技術
  • 造形表現に関する技術
  • 言語表現に関する技術
の3分野のうち、2分野を選択することになっています。いずれも『保育実技の技術』を見る試験です。

日常の保育で『こどもたちの表現したい気持ちを引き出し、遊びが発展することを援助する技術』、とても簡単に言い換えればこどもたちが「もっと先生と遊びたい!」「先生大好き!」になるような、おうた・おえかき・おはなし遊びができますか? という試験なのです。つまり、プロの音楽家や画家、舞台俳優のような技術を求める試験ではないのです。あくまで保育実技の技術を求められているのだという出題の意図を正しく理解していれば、初心者のかたでも合格することは可能です。

しかし、この「出題の意図を正しく理解していれば」がとても重要で、なかなかに難しいのです。「保育園の先生としてこどもたちと触れ合うための試験」であるということを考えずに臨んでしまうと、当然のことながら「出題に対する解答としては正しくない」と評価されてしまい、残念ながら不合格ということにもなり得るのです。練習に取り組む以前に、この解釈が正しくできるかどうかで、明暗が分かれると言っても過言ではないのです。

また、実際の仕事ではできるかもしれないことでも、試験という緊張状態で、しかもこどもがいない状況で保育実技をするということは、完全に演技をしなくてはなりませんので、また別のハードルがあるのも確かで、そこの対策も重要になってきます。

気になる合格率

さて、気になる実技試験の合格率についてです。厚労省サイトで公表されているデータを見てみますと、平成17年~21年まではおよそ80%前後で推移していました。しかし、平成22年から徐々に上がり始め、平成26年は88.7%、平成27年には89.1%と発表されています。いまではおよそ9割近くが合格するというデータですね。合格率が上がってきている背景には昨今の保育士不足に対応するかたちで、合格者を増やしたいねらいもあるのかもしれません。

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表:保育士試験・実技の合格率(厚労省資料をもとに筆者が作成)


音楽表現については、筆者の講座受講者の構成から見ると、ピアノや弾き歌いの初心者がたいへん多いです。ですから、初心者や中級程度のレベルの方でも、9割近くが合格できる可能性があるということになります。言語表現については、音楽よりもさらに経験者は滅多にいない分野ですから、ほぼ全員が初めてです。なかには、保育所で既に補助的な勤務で現場経験をしている人もちらほらといますが、かなり少数だと思います。例えばこのような経験値で2分野を選択してもおよそ9割ちかくが合格できるということです。

こちらが上記の表の元データが記されている厚労省資料へのリンクです(資料2ページに筆記試験も含めた合格率の推移が掲載されています)。
次に、各分野の出題のポイントについて解説していきます。

音楽表現に関する技術

出題されている楽譜には、歌詞とメロディー、コードネームしか書かれていません。これは最低限の情報が書かれたメモと考えてください。

これをもとに、
  • 自分にできるレベルの演奏内容にアレンジする。
  • 楽譜やメモを臨機応変に準備して、子どもたちの前で演奏するための用意をする(購入しても自作でもかまわないし、楽譜を使用しなくてもよい)。
  • 子どもたちに親しみやすい演奏をする。
このようなことを自分で適宜準備できるかどうか、そして、保育の現場で子どもたちと楽しく音楽で遊ぶことができますか? という試験です。ですから、『複雑で難易度の高い伴奏を、間違えずに弾きこなせるか』という試験ではないのです。この解釈が正しくできるかどうかが、評価の分かれ目となるでしょう。

造形表現に関する技術

受験者自身が、造形に関する基礎的な知識・技術を備えているかどうかを見られます。

子どもに親しみやすい基本的な明るい色使いや構図、人や物の大きさのバランス感覚なども身に付けておきましょう。決められた時間内に、その場で指定されたテーマ・条件に従って描けることがポイントです。つまり、画家のように油絵を何週間・何か月もかけて描き込む、というような芸術ではなく、基礎的な知識と技術、そして保育者自身の豊かな感性で、子どもたちの造形表現を援助し、発展させるような遊びが提供できますか? という試験なのです。その素養があるかどうかを見られる、と考えるとよいでしょう。

実際の保育の場面で想像してみますと「先生、○○描いて~!」なんて、こどもに頼まれることも多々あります。そんなときに、さらさらと、カラフルに健全な絵が描けるとよいのではないかと思います。日ごろから、大作でなくても気軽な感じで何かとイラストを描いたりして、まずは「描く」という活動に慣れ親しむのも、よい練習になると思います。

言語表現に関する技術

受験者の皆さまの中には通信講座の教材のCDなどを持っているかたもいらっしゃると思います。しかしこうした教材は、アナウンサーのような作り込んだ口調で語られています。わたしはこのような素話を聞くと、生身の人間の、自然な感情を感じ取ることができないように思うのですが、皆さまはいかがですか?それに実際の保育の現場で、先生がこのように(アナウンサーのような口調で)子どもたちに話しかけても、ちっとも子どもたちの心には響かないと思うのです。

ですから、こうした教材を真似することは、あまりオススメできません。暗記したものをただ暗誦するだけでは合格は難しいでしょう。もっと自然に、自分の言葉で子どもたちに話しかけているような表現を、採点委員の前で出来るかどうかがポイントです。「保育園でこどもたちの前に立ったとき、あなた(受験者)はどんな様子でこどもたちに話しかけるのですか? 」という試験なのです。試験では「こどもに見立てた椅子等」に向かって話すよう指示されています。実際に目の前に子どもがいない状況ですので、完全に演技形式の試験となります。言語の試験ではここが特に難しいところです。

いかがでしょうか? 実技試験について、だんだんとイメージがわいてきたでしょうか?試験のねらいを正しく理解することがカギだということがわかってきたと思います。そのほかにも参考になる記事をピックアップしますので、ぜひ参考になさってくださいね。

■参考記事
平成28年保育士試験・実技のポイントはここ!
保育士試験 実技(3) 造形—参考作品の紹介
保育士試験 実技(5) 音楽―伴奏の正しい選び方
平成27年保育士試験 言語表現課題絵本―実技(16)

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