大学生の奨学金/奨学金の基礎知識・トレンド

国の奨学金とその他、民間の奨学金の概要

現在の保護者の方が学生の時代は、日本育英会という組織が奨学金事業を運営していましたが、その後、2004年に国の奨学金事業は日本学生支援機構に引き継がれました。現在では大学生の2人に1人以上が何らかの奨学金を利用しており、特に日本学生支援機構奨学金の利用比率は大学生の40%近くまでに上昇しています。数多くある日本の奨学金。それぞれの概要を簡単に解説しています。

久米 忠史

執筆者:久米 忠史

大学生の奨学金ガイド

奨学金の基本的な仕組みを理解する

今回は奨学金の基礎編として基本的な仕組みや内容について解説していきます。
まずは一般的な奨学金の仕組みから。
図表

奨学金の基本的な仕組み

奨学金は「公的な奨学金」と「民間の奨学金」の2つに分かれます。公的な奨学金とは国や地方自治体などが運営しているものです。それに対して、民間の奨学金とは企業や各種法人のほか、様々な育英団体などが独自に運営しているものだと理解してください。

続いて、奨学金は「貸与方」と「給付型」に分かれます。貸与方とは、その名の通り“貸し与える”ものなので返済が必要です。それに対して、給付型は返済の必要のない、貰える奨学金です。そのほか、学費の全額または一部を免除する「減免型」の制度もありますが、これも給付型の類型と考えてもいいでしょう。

最後に、貸与型の奨学金には、返済時に利息がつく「有利子」のものと、利息のつかない「無利子」のものとの2種類に分かれます。

代表的な奨学金「日本学生支援機構奨学金」とは?

現在、最も多くの学生が利用しているのが日本学生支援機構奨学金です。「日本学生支援機構?」 保護者の方にとっては耳慣れない名前ですよね。でも、昔あった日本育英会という名称を憶えている方は多いのではないでしょうか。

日本学生支援機構は2004年に設立された文部科学省所管の独立行政法人であり、永らく国の奨学金制度を運営してきた日本育英会から事業を引き継ぎました。大ざっぱに言えば、日本育英会が「日本学生支援機構」に名称が変わったと考えてもいいでしょう。

日本の全学生数に対する日本学生支援機構奨学金の2011年度の利用率は、大学生(37.2%)、短大生(38.8%)、大学院生(39.7%)となっており、総利用者数も2012年度には130万人を突破しています。(日本学生支援機構公表資料より)
図表

JASSO奨学金利用率

2011年度の時点で大学生の10人に4人近くが日本学生支援機構の奨学金を利用している実態から考えると、日本の経済状況が大きく好転しない限り、その利用率が50%を超える可能性も十分にあるでしょう。

日本学生支援機構の奨学金は、一部の大学院生を対象とした種類を除き全て貸与型となっているので、日本の代表的な制度である日本学生支援機構奨学金は、“無利子または有利子貸与型の公的な奨学金”であると理解してください。

続いて、地方自治体、民間の奨学金など、その他の様々な奨学金の概要をご説明します。
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