台地の先端、湯島龍岡町
今回の舞台は文京区湯島4丁目。台東区との区境近くに現地がある。文京区は武蔵野台地の東端にあたるが、そのなかにあってなお先端に位置するといって良い。湯島の「島」は、かつて不忍池が海に通じていた頃、界隈の地形が島に見えたことによるものだそうだ。ついでに「湯」は、近くで温泉が出たからという説があるそうだが、こちらは定かではない。現地標高は16m。ローム台地の南端は神田駿河台辺りなので、南に行っても1kmほどしかない。まさに高台の先端といえる。本郷台地から東に向かって低地に至る斜面には、歴史上または文学史上にて著名になった場所が少なくない。森鴎外の「雁」に登場する「無縁坂」、湯島天神に沿って勾配のある春日通りの「切通坂」などがそれである。
物件名は「ザ・パークハウス湯島龍岡町」。龍岡町とは、湯島4丁目になる以前の地名。縁起の良い「龍」からとったそうだ。現地から2分も歩けば、東京大学「龍岡門」がある。その目の前の信号は「竜岡門前」とあり、なぜか「龍」ではなく「竜」。近くの都バス停留所も「竜岡門」。理由は不明だ。
開かれた本郷キャンパス
国立大学の法人化に伴い、企業等からの寄付金や金融機関の融資を受けるなどして東京大学本郷キャンパス内では、幾ヶ所において建設計画がある。都心の真ん中に位置した広大な敷地には、旧加賀藩御屋敷跡地を継承する「三四郎池」や「赤門」が現存、校舎は関東大震災後に建造された「内田ゴシック」と呼ばれるレトロな風情をたたえている。歴史と先進の融合した独特の教育施設である。赤門を入ってすぐに煉瓦貼りの築新しい建物が見える。館名には「伊藤国際学術研究センター」とある。建物のなかは内壁をライムストーンで統一。気持ちの良い空間だ。1階にはカフェテリアがあって、運営は目白台の「椿山荘」である。学食のイメージとは程遠い雰囲気とサービス、そしてプライス。それでもホテルで食することを思うと相当リーズナブルなのだろう。
キャンパス内は、小さなお子さんの手を引いた家族連れが意外と多い。安田講堂の地下の学食などには一般の方々がまれに訪れるそうだ。良識ある行動のもとに施設を見学または一部利用させてもらうことは可能のようである。学校紹介が長くなってしまったが、「ザ・パークハウス湯島龍岡町」の現地視察で印象的だったため、紙幅を割いた。