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中村恩恵×首藤康之インタビュー!(4ページ目)

2009年より創作活動を共にし、上質なデュエット作品を発表し続けている中村恩恵さんと首藤康之さん。この秋には、最新作『小さな家 UNE PETITE MAISON』、一昨年上演し高い評価を得た『Shakespeare THE SONNETS』の2作を披露し、さらなる境地を見せつけます。ここでは、10月に開幕を控えたお二人にインタビュー! 創作の過程、そして作品への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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創作の過程で、意見が食い違うことはないですか?

首藤>ありますよね?
中村>お互い自分の中に意見が一杯あって、でもそのどれがいいかというのは絶対的な訳ではないので。
首藤>とりあえず言ってみて、“でもこれはどう?”っていうこともあるし、“どっちも試してみよう”っていうこともあるし。まぁ、食い違って取っ組み合いの喧嘩になることはないですよ(笑)。やっぱり、話すようになりましたね。最初の頃はお互い緊張してて、なかなかそれもできなかった。でも、随分回数を重ねてきたので……。
中村>結構長くなってきましたよね。
首藤>といっても、2009年からなんですよね。もっと前から一緒にやってるような気分です。密度が濃いっていうことかもしれない。いろんな作品をつくってきましたからね。


いろいろな作品を経て、パートナーとしての密度も濃くなったのでは?

中村>それが、私、よく振りを忘れちゃうんですよね(笑)。本当に“ごめんね!”って思うんですけど。
首藤>でも、恩恵さんの踊りは恩恵さんの振付けだから大丈夫というか。不思議なことに、全く違う動きをしても、成立するんですよ。だから、そこは全く問題はない。
中村>本番に向かって練習をしていて、“何があっても大丈夫っていう感じになってきたよね”っていう瞬間があって。
首藤>それは、稽古を重ねるとどんどん出てきますね。バレエのテクニックがまず基盤にあって、毎日の練習というのがやっぱり賜になる。もちろん感性的なものもあるけど、そこだけではないというのが、美しさの秘訣なんだと思うんです。
中村>あと、稽古をしていて、“ここまでやりたいな”って納得する場所が共通だとすごく上手くいく。
首藤>コルビュジエの言葉を借りれば、“美を追究しているというのではなく、調和を目指してる”ってことなんだと思う。もちろん調和を目指していれば、きっと美に行き着くと思うんですけど。

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『Shakespeare THE SONNETS』 
撮影:鹿摩隆司



同じ時間を経たから出来るようになったこと、ここまでやってきたからこそ見えてきたものはありますか?

首藤>やっぱりありますね。特に、今回のプロジェクトは三年前だったら考えもつかなかったかもしれない。
中村>私たちも、自分たちの人生を積み重ねて気づくことがあったりして。
首藤>この年齢で、今のこの素材とプロジェクトがあるんだろうなって、つくづく思いますね。昔は歳を取るのが怖かったけど、今は積み重ねるのが楽しいというか、興味深くなってきました。以前はやっぱりダンサーとして歳を重ねるというのはちょっと恐怖心があって……。バレエしかやってこなかったので、全く訳がわからなかったんです。ましてや60歳、70歳になったら何をやってるんだろうと。
中村>いないからね、そういうひとが。
首藤>でも実際に自分が歳を重ねて、40歳を過ぎてみたら、すごく興味深くなってきた。やっぱりコルビュジエの話なんですが、“ひとつのことを継続するというのはすごく忍耐力がいるし、謙虚でなきゃいけないし、自制心を持ってなきゃいけない”という言葉を残してる。そういう意味での自信が出てきたというか……。もちろん、考えることはいろいろありますし、自信があるとは言い切れない部分もある。ただ、何か自負みたいなものが出てきたのかなって、歳を経て思えるようになったような気がしています。

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『Shakespeare THE SONNETS』 
撮影:鹿摩隆司



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