Bプログラムは2011年の作品『Shakespeare THE SONNETS』の再演ですね。
当時から、お二人の間で再演の話は出ていたのでしょうか?
中村>作品って、生み出してみないとそれが再演に耐えられるものなのか、自分たちで決められることではなくて……。自主公演をするんだったら何だって決められるし、たとえお客さんが来なくても自分たちの好きなことをやっていい。だけど、プロの活動としてプロダクションを成立させるためには、作品の力によって再演できるかできないかがかかってくるんです。でも何回も再演をしていくことによって作品自体の命というものが出てくるし、不必要なものが取れて、必要なものがくっついてくる。何回も上演されていろんな人が踊ったり、いろんなひとが観たり、いろんな所でやることによって、生きたものに生まれ変わっていく、育っていくこともある。またそういうことに耐えられるものをつくるのが常に目標としてあるけれど、全てがそこに耐えきれる訳ではないのかなって思う。だからこそ、今回再演できるのはすごく嬉くて。首藤>嬉しいですね。前回は初演だったので、カチコチになってたし、必死だった部分があって。でも再演だと、前回見えなかったことが少しずつ見えたりもするし……。
『Shakespeare THE SONNETS』 写真:操上和美 衣裳協力:(株)ヨウジヤマモト
お二人ほどのベテランでも、カチコチになるもの?
首藤>毎回恐怖との戦いですよね。どうやって恐怖を取り払うことがきるのか、ということにかかっていると思うんです。それは舞台に立つことだけじゃなくて、何でもそう。恐怖を取り払うことによって、正しく、美しいものがあらわれるというか……。2011年の初演時、作品は高い評価を受け、大きな反響を呼びました。
お二人の中でも、やはり手応えを感じた部分はありましたか?
首藤>ありました……、よね?中村>それが、私は終わってしまうとあまり思い返さないんですよね(笑)。
首藤>そういう部分では、僕たち全然違うかも。
中村>あっさりしてて、映像も次に再演が決まってから観るんです。
首藤>僕は正反対。
中村>私は戌年なんだけど、酉年に近いんですって。だから、すごく物忘れが激しいの(笑)。
首藤>干支が関係あるの(笑)? 僕はもう、ひとつの舞台が終わってから次のプロジェクトに入るまで、常にそのことが頭にある。だから新しいことが入るまで、ホントにずっと思い返してます。
中村>私は逆で、作品をつくってる最中から、“この次はこういうものをつくろう”って、もう頭の中に次の新作のことがワーッと出てきちゃう。それで、ひとつの作品が終わった途端に、頭が次に行ってしまって。
首藤>なるほどね。“次はこれをやりたい!”って、すぐ切り替わるんだ。僕なんて、思い返そうとしなくても思い返しちゃう。なかなか離れられない。前回の『Shakespeare THE SONNETS』の時も、終わってからずーっとビデオを観てたり……。
中村>すごい!
首藤>きっと反省もしてるんだよね。“次だったらもっとこうやってるんだけど”って、思ってるのかもしれない。
『Shakespeare THE SONNETS』
撮影:鹿摩隆司
タイプが違うというのは意外ですね。お二人の舞台を観ていると、非常に似通っているものを感じるので。特に、『Shakespeare THE SONNETS』では、どちらがどちらかわからないくらいでした(笑)。
首藤>あれはカツラの力とか、ストーリーの力もあって。だけどビデオを観てても、僕たち自身もたまにどちらかわからなくなる(笑)。中村>筋肉とか、腕の太さで違いがわかるくらいで。
首藤>実際は、プロポーションも違うんですけどね。
中村>でも、性格はどうなんだろう。
首藤>何をとって性格というのかわからないんですけど……。まぁ、お互いにないものを持ってるんじゃないですかね(笑)。