話し方・伝え方/報告・連絡・相談での話し方

ビジネスにおける報連相の使い方!上手な報告の仕方とは?

報連相(報告・連絡・相談)は仕事をする上で欠かせません。具体的にどのようにするのがいいのか、報連相の事例を見ながら基本をもう一度チェックしておきましょう。仕事上で上司やビジネス相手に対して、上手な報告の仕方のポイントを解説します。

藤田 尚弓

執筆者:藤田 尚弓

話し方・伝え方ガイド

報告・連絡・相談の違いとは?上手な報告の仕方を解説!

上手な報告の仕方とは?

報・連・相はあたりまえだけれど、意外にわかっていない基本スキルの代表

仕事の問題点や結果などを知らせたり、作業の進め方に問題がないか確認したり、報・連・相(ホウレンソウ)は仕事を円滑に進めるためには欠かせないツールです。ビジネスパーソンにとって基本中の基本ともいえるホウレンソウですが、違いをはっきりわからないまま使っている人や、報告・連絡・相談を混同してしまう人も少なくありません。この機会に基本を確認し、適切な伝え方ができるようにしてみませんか?
 

 

報告の役割と使い方

「報告と連絡って同じじゃないの?」と思う人もいますので、違いも含めて確認しておきましょう。

【報告】主に部下が上司にするもので、仕事を管理する立場のある人が状況を把握するために行われます。するかしないかの判断がある程度本人に任せられる「連絡」に対して、報告は義務のニュアンスが強くなります。共有しておいたほうがいいと思われる情報を関係者に伝える「連絡」に対して、報告は伝える相手が仕事の責任者(主に上司)になります。

「連絡? それとも相談?」と迷わないようにするためには、仕事の指示→作業→報告とセットにして覚えるといいでしょう。

例)上司に会議の資料を作るように指示された→資料を作成した→上司に完成したことを報告する

著者は企業の中間管理職を経て現在は経営者として働いていますが、作業を依頼した部下が仕事をやりっ放しで完了したことを報告しないというケースには何度となく遭遇しています。完了報告は報告・連絡・相談でやりがちなミスのひとつでもあります。終わったのなら他に頼みたい仕事がある場合もありますし、なかなか終了できないのなら上司は手を差し伸べたいと思っています。言われなくても完了報告は行うようにしましょう。

作業が完了しなくても、区切りの場面で報告は必要です。例えば、作業の途中に退社時間がきた場合などには、報告なしで帰るのはNG。「明日続きをやれば大丈夫だろう」と思った場合でも、勝手に判断せずに緊急でないか確認し、どこまで終わったかを報告するといいでしょう。
 

上手な報告の仕方1:中間報告をうまく使おう

作業に長い時間を要する仕事に関しては、中間報告と覚えておきましょう。報告してもらう側は、進捗状況を共有できるため、作業が遅れている場合には、増員する、手を貸すといった対策を立てることができるようになります。スムーズに進んでいる場合でも、状況は知っておきたいもの。中間報告は、職場での信頼関係を構築するという役割もありますので積極的に行いましょう。

「順調に進んでいる時に中間報告なんて面倒」と思う人もいるかも知れませんが、わざわざ報告するだけのメリットがあります。そのひとつが、努力の方向が間違っていないかを早い段階で確認できるというのがあります。長い時間をかけて作業したのに、上司の思うものとは全く違うものができてしまった……といったトラブルはどの業種でも起こります。

例)企画書の制作をまかされた→休日も返上して詳細まで織り込んだ企画書を制作→上司に見せたところA4一枚にまとめろと言われた

せっかく頑張っても、その努力の方向が間違っていたのでは残念な結果になってしまいます。長い時間や多くの労力を必要とする仕事の場合は特に、方向性を確認し、進捗状況を見てもらうのがいいでしょう。

 

上手な報告の仕方2:悪い報告こそスピーディーに

「よい報告は翌朝でいいが悪い報告は即刻我を起こせ」とはナポレオンの名言

「よい報告は翌朝でいいが悪い報告は即刻我を起こせ」とはナポレオンの名言

悪い報告というのは、なかなかしにくいものです。現場で対応をしているうちに、タイミングを逃してしまうこともあるかも知れません。

しかし、問題の報告が遅れると、事態は悪化しやすくなり、信頼度も落ちてしまいます。言いづらい気持ちはわかりますが、最小限で食い止めるためにも悪い報告ほど早くするようにしましょう。
 

上手な報告の仕方3:悪い報告をする時のコツ

「早く報告したほうがトラブルを最小限にできる」という気持ちがある一方で「責任を負わされたくない」という気持ちが芽生えてしまうのはごく自然な反応です。意識して気をつけていかないと、自分を正当化するような報告になりがちだということを知っておきましょう。客観的に見ているつもりでも、相手からは弁解に聞こえやすい状況ですので、まずは潔く謝罪の言葉を述べるところから始めるのがコツです。その後、事実を結論から簡潔に説明しましょう。

例)大変申し訳ありません。私のミスで昨日の発注分がまだ届いていません。大至急、発注し直しましたので明日には届く予定です。これから製造のほうに謝罪にいきまして、そのぶんを明日対応してもらえるようお願いしてきます。今後は二重チェックでこのようなことがないようにします。

ただトラブルがあったことを報告するだけでなく、自分ができる対応策も一緒に報告するのも大切です。トラブルの規模が大きい場合などには、上司に対応策を相談する、他に関連する部署にも連絡をするといったことも併せて行うといいでしょう。

この際、謝罪をとばした報告をする人や、自分に責任があることには触れない人が少なくありません。悪く思われたくないという気持ちはわかりますが、上司や先輩はそこに引っ掛かりを感じるものです。謝罪には責任をとらなくてはならないというマイナス面もありますが、印象を回復するという役割もあります。やってしまったことには潔く謝罪してしまいましょう。

 

連絡の役割と使い方

普段から話しやすい雰囲気を作ることや雑談を心がけるとGOOD

普段から話しやすい雰囲気を作ることや雑談を心がけるとGOOD

【連絡】知らせたほうがいいと判断した情報を関係者に伝えること。

例)私の発注ミスで○○の製造ラインが遅れることになりそうです。2~3日は急ぎの受注などが難しくなってしまう可能性がありますので、営業の方にもご連絡にきました。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。どうぞよろしくお願いします。

「わざわざ言う必要はない」といった自己判断、そもそも連絡しておくべきことに気づけないといったことを防ぐには、相手の立場にたって考える想像力が必要です。社会人経験の浅い人や職場や部署が変わったばかりの人には難しいかも知れませんので、上司や先輩に助言を求めるといいかも知れません。判断に迷った時は念のために連絡しておくようにしましょう。

報告・連絡・相談の中でも、軽く考えがちな連絡ですが、ちょっとした抜けが思わぬトラブルに発展することもあれば、連絡のおかげで難を逃れるということもあります。著者の知人で「最近○○社の支払いサイトが長くなってきている」という連絡のおかげで、倒産前に商品を取り込む被害から免れた人がいます。「もしあの時、連絡をもらっていなかったら、連鎖倒産になってしまったかもしれない」という言葉を聞き、連絡の重要性を改めて感じました。

連絡の多くは、特に何かに繋がるわけではないムダなことのように見えるかも知れません。しかし、共有しておいたほうがいい情報は少なくありません。情報共有ができる会社というのは体質的にも人間関係の面でも強い会社になっていきます。最近では雑談を奨励する会社も増えてきました。気兼ねなく小さなことも連絡できるよう、日頃から話しやすい雰囲気を作っておくのは大切ですね。
 

相談の役割と使い方

【相談】判断に迷う時や他の人の意見が欲しい時に、指示やアドバイスを仰ぐこと。

例)○○社への添付資料のボリュームなんですが、今回も多めに用意したほうがいいでしょうか。2回目なので、簡潔にまとめたほうがいいかも知れないと思ったのですが、○○先輩だったらどうしますか?

新社会人や部署が変わった時、転職した時、責任者を補佐するような仕事の場合などによく使われます。相手が話せる状況かを判断して、簡潔に行うようにしましょう。すべてを相手任せにするのではなく、自分が調べられることは調べる、自分の考えをまとめておくといった事前準備も忘れずに。「今ちょっとお時間よろしいですか」といった気遣いの言葉をからスタートしましょう。

相談をしてアドバイスをもらった場合、そのアドバイスに従うのが基本です。いろんな人にアドバイスをもらって最終的には自分で決めるという人もいますが、アドバイスをしたのに違う行動をとられると上司や先輩は心中複雑です。このあたりも冷静に考えてから相談するようにしましょう。相談しっぱなしではなく、事後の報告とお礼の言葉も忘れずに!

 

相談の思わぬ効果

「上司に相談したら、そのアドバイスにしたがわなくてはならないのか……」「いちいち事後報告をしなくてはならないし、お礼も言わなければならないのか」と思う人もいるかも知れませんが、お近づきになりたい上司や先輩がいる人はぜひトライしてください。なぜなら、相談には相手との心的距離を縮めてくれる効果があるからです。

皆さんは友達に相談をすることで仲良くなったという経験はありませんか? 異性の友達の恋愛相談に乗っているうちに恋愛に発展したというのもよくある話です。相手から見えない部分を、自分から話す。自己開示には、相手に親近感を与える、相手も自己開示をしやすくなるといった効果があります。

なぜだか友達が多い、上司から好かれる、モテるといった人を観察してみてください。人よりも自己開示のタイミングが早い、自己開示の仕方が上手いといった特徴をあなたも見つけられるはずです。相談は自己開示のひとつですから、こういった効果も期待できるでしょう。とはいえあまり深刻な相談は印象を悪くしてしまうリスクもありますので、実践にはちょっとした相談がオススメ。「こんなこと相談してもいいのかな」と思うくらいの軽いものでお試しを。

人付き合いが苦手な人、話しかけづらい上司を持った人などの場合、相談しにいく特に社会人経験の浅い方にはお勧めです。相談することで間違った方向への努力を減らすことができますし、いろんなことを教えてもらえるきっかけになるかも知れません。
 

報連相(報告・連絡・相談)を徹底するために

  • わざわざ言う必要がないという自己判断

  • タイミングを逃してしまう

  • 都合の悪いことは言いたくない

  • 自分のやり方を通したい

  • 中間報告や確認が必要なことに気づかない

  • 上司が話しかけづらい雰囲気

報告・連絡・相談が徹底できない要素は他にもたくさんあります。どうしたら、ホウレンソウの抜けや漏れを防ぐことができるのでしょうか。

それには、ホウレンソウの重要性を確認することが必要です。複数の人が連携しながら成果をあげるためには、情報共有・問題共有は不可欠。上司は部下のマネジメントも仕事ですが、ホウレンソウがないと適切な指示を出せません。「このくらいはいいか」と軽んじないようにしましょう。

判断に迷った時は「念のために」と考える、この件はホウレンソウの必要がないと思った時には、その判断の裏に「面倒」という気持ちがないかもう一度確認するといった心構えでいましょう。

ホウレンソウをしっかりすると、誠実だという印象を持ってもらえる、信頼を得ることもできるといったメリットがあります。最初は上手にできなくとも量をこなすうちに勘所がつかめるようになるので、まずは抜け漏れを防ぐことを目標に積極的に取り組んでみてください。
 

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