フィンランド/ヘルシンキの観光・お土産

ヘルシンキにある建築家アールトのアトリエと自邸(3ページ目)

ヘルシンキの中心街からトラムで20分ほどのムンッキニエミ地区には、20世紀のフィンランドを代表する建築家アルヴァ・アールトが自身で設計し、利用していた設計事務所のアトリエと自邸がそれぞれ残っています。どちらの建物もガイドアワーにあわせて行けば内部見学が可能で、学芸員による英語での詳しい解説も聞くことができます。アールト自身が毎日使っていた建築からは、心地よさの秘訣がたくさん見つかりますよ。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド

アールト一家の心地よい暮らしぶりがわかる自邸

自邸

どの部屋も外からの自然光がたっぷり採り入れられた自邸は、見るからに心地よさそうな穏やかな雰囲気。置かれた家具もすべてアールトや妻が設計したものばかり

アトリエから、同じ住宅街のなかを15分ほど徒歩移動した先にある自邸は、ヘルシンキ市内での定住を考えていたアールト夫妻が1934年に土地を購入し、自ら設計を手がけて2年がかりで建てられました。

スタジオ

自邸に併設した吹き抜け天井のスタジオ

事務所の規模が大きくなったことから後に新しいアトリエが建てられましたが、自宅には製図デスクが並んだミニスタジオが併設されており、当初スタッフはここに通って仕事をしていました。

スタジオには、もちろんアールト自身の作業机もそのままに残っており、さらにアールトが考え事をするときにこもっていたという秘密の小部屋の所在も教えてもらえます。また、スタジオの壁にはアールトが趣味で描いていたたくさんの抽象画作品や、旅のおみやげと思われるインテリアも散見され、とても興味深い空間です。

 

スタジオとアールト一家の住居部分は、引き戸一枚で分け隔てられています。住居内は、暖かなイメージの木製の壁やインテリアが多用されていて、ほっと落ち着ける理想的な自宅といった印象。2階には寝室や子供部屋、バスルームがあり、広い庭に面したバルコニーからは、かつては美しい海が臨めたのだとか。奥さんが弾いていたピアノや蔵書など、実際に利用されていた日用品から小物まですべてそのまま保存してあり、どの部屋も当時にしては裕福で、幸せな家族団らんの様子が目に浮かぶような、生活感に満ちています。

実は家具や食器のほとんどは、アールト自身、または前妻のアイノや後妻のエリッサのいずれかが手がけたものばかり。よそから購入されたのは、アールトが初任給で買ったというリビングの座り心地抜群の黒い椅子と、木彫の装飾が美しいダイニング椅子。これはアールトとアイノの新婚旅行時にイタリアで気に入って購入したものなのだそうです。地下には、見学はできませんがもちろんサウナルームもあります。

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外観

ツタと木の羽目板に覆われたユニークな外観

Alvar Aallon kotitalo(アルヴァル・アーッロン・コティタロ/アールトの自邸)
住所:Riihitie 20, 00330 Helsinki
TEL:+358 9 481 350
メール予約先:riihitie (at) alvaraalto.fi
アクセス:アールトのアトリエから徒歩約15分/
トラム4「Laajalahden aukio」下車徒歩約5分
ガイド開始時間:火~土曜13:00~、14:00~、15:00~
(5~9月は16:00~も、さらに8月は17:00~も)
休館日:月曜(8月は無休、1月は土曜のみ催行)、12月
入場料:17ユーロ(学生8ユーロ)
※同日にアールト自邸も見学する場合のセット券は30ユーロ(学生14ユーロ)

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