フィンランド/ヘルシンキの観光・お土産

ヘルシンキにある建築家アールトのアトリエと自邸(2ページ目)

ヘルシンキの中心街からトラムで20分ほどのムンッキニエミ地区には、20世紀のフィンランドを代表する建築家アルヴァ・アールトが自身で設計し、利用していた設計事務所のアトリエと自邸がそれぞれ残っています。どちらの建物もガイドアワーにあわせて行けば内部見学が可能で、学芸員による英語での詳しい解説も聞くことができます。アールト自身が毎日使っていた建築からは、心地よさの秘訣がたくさん見つかりますよ。

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド

売れっ子アールト設計事務所の活動拠点となったアトリエ

アトリエ

アトリエ内には、さまざまなランプや椅子などを置き並べて比較検討していたという実験スペースがある

それまで自宅に併設していた事務所の作業場が手狭になったことから、アールトが1955年に設計し完成させたアトリエ。外観は白一色に塗り込められ、作業場のある2階部分と隆起した中庭とが同じレベルに合わせられた、とてもユニークな構造をしています。建物の一部(食堂部分)はのちに増設されています。

見学ルートの出発点になる1階には、ミニ展示スペースと食堂があります。スタッフたちが利用していたというこじんまりした食堂では、アールトがいつも座っていたというお気に入りの特等席がどこだったかも教えてもらえますよ。

製図室

現在ではアールト財団のオフィスとして利用されている製図室。白い空間にめいっぱいはいってくる自然光が気持ちいい

2階に上がると、いよいよスタッフたちの作業場を、当時のようすのまま見学できます。個人デスクの並ぶ製図室は、現在はアールト財団のスタッフの作業場として利用されているのでパソコンが並んでいますが、当時はもちろん手描きによる製図の時代。その道具の数々や、アールト事務所が手がけたいくつかのプロジェクトについての展示や模型も見せてもらえます。

そして、プロジェクトがいよいよ仕上げの段階に入るとスタッフが顔をつけあわせてミーティングや試行錯誤を繰り返していたという作業スペースは、天井が一際高くとられていて、その一角にはさまざまなデザインのランプが垂れ下がっています。床にも、ありとあらゆるデザインの椅子がずらり。ここは、その都度ふさわしい家具デザインにもこだわっていたアールトらしい実験の場でもあったのですね。

野外劇場のような段差のつけられた中庭では、白い壁面を活用してレクチャーや映像の上映なども行われていたとか。1976年のアールトの死後、アトリエは彼の後妻であるエリッサによって引き継がれ、彼女が死去する1994年まで引き続きアールト設計事務所のメインオフィスとして利用され続けました。

<DATA>
アトリエ

ごく普通の住宅街のなかに突如現れる真っ白な建物

Alvar Aallon ateljee(アルヴァル・アーッロン・アテルェー
/アールトのアトリエ)

住所:Tiilimäki 20, 00330 Helsinki
TEL:+358 9 481 350
メール予約先:riihitie (at) alvaraalto.fi
アクセス:トラム4「Tiilimäki」下車徒歩約5分
ガイド開始時間:火~土曜11:30~(5~9月は12:30~も催行)
休館日:日・月曜(8月は毎日催行)
入場料:17ユーロ(学生8ユーロ)
※同日にアールト自邸も見学する場合のセット券は30ユーロ(学生14ユーロ)

最終ページでは、アールト一家が住んでいた自邸の見どころと見学方法を紹介!
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