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勅使川原三郎が荻窪にアートスペースをオープン!(4ページ目)

日本ダンス界を代表する振付家・ダンサーであり、世界を舞台に活躍する勅使川原三郎さん。その30年にわたる活動の結晶として、この夏荻窪に複合アートスペース『カラス アパラタス』をオープン! スペースのコンセプトや想い、今後の展開について、勅使川原さんにお話をお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド



Q:アパラタスで開催される公演『日々アップデイトするダンス』シリーズについてお聞かせください。

勅使川原>日々アップデイトするダンス、毎日更新するダンス。単純に言うと、連続公演という意味です。ただ連続公演というと通常は同じ作品を繰り返しやるけれど、僕らの場合は我々がダンスに向かう日々の作業の継続性だと思っていて。過去に戻る、昨日を繰り返すのではなく、今あるものをきちんと生きていく。

古い考えだとそれは即興的なものであり、雑な作業だと評価する人もいるかもしれませんが、僕は決してそうではないと考えています。例えばスポーツでいうと、同じルールで同じ相手と闘っていても、試合は常に新しい勝負であり、その中で新しい技が出てくる。それは、生きてる証拠だと思うんです。特に僕の場合は創作ダンスをやっていて、いわゆる伝統芸にのっとっている訳ではない。でもメチャクチャに生きているのではなく、過去をきちんと踏まえた上で今日があり、今日踊ることが明日につながっている。とても単純な表現ですけど、日々の継続を素直にやっていきたいと思っていて……。

アップデイトの公演は、なるべく低料金で、日替わりで続けていく予定です。9月に東京芸術劇場で公演がありますが、そこまでのプロセスもアップデイトで公開しながら向かっていく。その上で、東京芸術劇場で完成形を観ていただく。完成形に向かっていく、そういうダンスもあっていいだろうし、そのプロセスを公開したい。ただのリハーサルということではなく、パフォーマンス形式でお見せするつもりです。

PH

アパラタス B2Fホール         ph Ryunosuke Kazama


Q:日々の公演から、また新たな発見や可能性が生まれてきそうです。

勅使川原>いろんな物の考え方があらわれてくるだろうし、あらゆることが要素になるし、あらゆることが理由になる。一年後、二年後の自分にとって、何がためになっているかわからない。今ひとつひとつ表現に携わることが、何らかの形で将来に向かってる。それは意味あることだと思っています。

Q:創作活動に公演、ワークショップと、そのバイタリティには目を見張るものがあります。勅使川原さんにとって、尽きることないモチベーションの源とは?

勅使川原>外国の人たちにもよく、“どうしてそんなに忙しくするんだ”って言われます(笑)。これは、みんなの力があって、協力があるからできること。周りも大変ですよね(笑)。ただ僕は言い出しっぺであり、ある意味提案者でもある。誰かが最初に提案する、発言しなきゃいけないと思うんです。気づいた人が“こうじゃないか”って言わなきゃいけない。真剣に自分が“こう考えるんだ”ということを、正直に提案する。

単に僕の興味ではなく、提案することが他の人とっても有意義なんじゃないかという気持ちもあります。人のことまで言えるほど僕は偉くはないけれど、提案することによって何かがより良くなるんじゃないかという想いがあって。ただ単に自分の反発とか、何かを訴えたいだけだったら、なかなか力は出ない。けれど、人と共有できるのではないかと思うことが、力になっている気がします。

Q:提案するということは、また大きな責任も背負うことになりますね。

勅使川原>責任重大です。でも、責任を負うのは好きなんです(笑)。そういう意味では、芸術的な責任を負っていけたらと思っています。

ph

『DAH-DAH-SKO-DAH-DAH』    ph Jun Ishikawa




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