本人に代わって、配偶者や家族などの代理人に総会へ出席してもらう
奥さんに代理出席してもらうことで、総会出席率の向上につながる。
区分所有法上、総会に出席できるのは区分所有者および利害関係のある賃借人に限られます。重要な組合行事だけに、出席者には一定の制限が設けられています。
しかし、円滑な組合運営のためには管理会社や管理人など第三者の意見が必要ですし、配偶者や家族が出席したいという場合も少なくないでしょう。そこで、区分所有法では「議決権は書面で、または代理人によって行使することができる」よう定めており、代理人による総会への出席を認めています。
通常、総会の開催案内の中には議案書と出欠票、委任状が同封されています。たとえば、奥さんが代理で出席する場合には、「欠席」と記した出欠票と「配偶者を代理人とする」旨を記載した委任状を提出すれば、手続きは完了です。
あとは総会当日、奥さんが出席し、ご主人に代わって各議案の賛否を表明(議決権行使)すれば、すべて終了です。奥さんが代理出席することで、総会出席率は低下せずに済みます。
組合員の関心の高いテーマを積極的に総会の議案として取り上げる
次に、総会出席率アップの施策として、組合員の関心の高いテーマを積極的に議案として取り上げるのも有効です。たとえば、マンション3大トラブルとされる「上下階の騒音」「ペット飼育」「敷地内駐車場」を議案に取り上げれば、大多数の組合員が関心を示すでしょう。無論、特にトラブルが発生していないのに、無理やり議案に盛り込む必要はありませんが、総会への関心度を高める契機にはなるはずです。築37年のある分譲マンションでは、窓とサッシを高気密・高断熱のものに改修する工事を実施することになり、臨時総会を開催しました。そのマンションでは以前から窓の不具合が指摘されていたため、臨時総会だというのに多くの組合員が出席しました。誰もが常日頃からの困りごとに対しては、敏感に反応するわけです。アンテナを広げ、マンション居住者が何に関心を持っているか調査してみるといいでしょう。
さらに、懇親会などイベントとのセット開催も一法です。飲み会やカラオケパーティーなどを総会終了後に開催することで、イベント前の総会にも顔を出してもらおうという方法です。もちろん、イベントばかりを強調すると、本来の目的が薄れかねません。本末転倒になりかねないので、その点は配慮が欠かせませんが、総会へ足を運ぶ1つのきっかけにはなるはずです。決して、総会は“お祭りごと”ではありませんが、興味を持ってもらうための1つの手段として、セット開催には一定の効果があるものと考えます。
そして、最後は開催日や開催場所を一工夫する方法です。通常、総会は休日に開催することが多く、たとえば休日の午後に日程を定めると、結局は一日が潰れてしまい、家族サービスを重視するファミリー世帯には嫌がられます。そこで、平日の夜や休日の午前中など、色々な日程を模索してみてはいかがでしょうか。そのマンションに合った最もふさわしい日程であれば、自ずと総会出席率は高まるはずです。固定概念に縛られず、各マンションの実情を開催日に反映させる工夫が欠かせません。
以上、お心当たりの管理組合は、さっそく実践に移してみてください。
―【まとめ】総会への出席率を高めるための5つの工夫―――
- まずは、各組合員がマンション管理における総会の位置付けや重要性を理解する。
- 区分所有者の配偶者など、代理人による総会への出席を促す。
- 組合員の関心の高いテーマを積極的に議題として取り上げる。
- 懇親会など、イベントとのセット開催も有効
- 開催日や開催場所を一工夫する。