アプリコット色のデューン、ナミブ砂海

砂肌に刻み込まれた風紋

アプリコット色の砂肌に刻み込まれた風紋。よく見ると甲虫やトカゲもちらほら見かけられる ©牧哲雄

砂漠というと巨大な砂の丘=デューンを想像するものだが、実は世界の砂漠のほとんどが土砂漠や岩石砂漠、礫(れき。小石)砂漠で、砂砂漠は1~2割しか存在しない。ナミブ砂漠も多くは土砂漠や礫砂漠だが、「砂海 "Sand Sea"」と呼ばれる一帯は世界でも例を見ないほど巨大なデューンが連なっている。

かつての沼沢跡

かつての沼沢跡。干上がって表層が割れている ©牧哲雄

ナミブ砂海のデューンはただ大きいだけではない。特徴的なのがその色だ。写真のように見事なアプリコット色! ナミブ砂海の砂は鉄分を多量に含んでおり、その砂が何万年もの間、太陽に焼かれているうちに赤みを帯び、このようなデューンができあがった。

その砂肌を見渡せば、柔らかくうねる風紋の無数の連なり。その曲線は優雅だがきわめて繊細で、ほんの少し触れただけで途端にサラサラ崩れ去る。この広大な景観が2mmに満たない微少な砂からできあがっているのがよくわかる。

思えば砂砂漠も巨大な風紋だ。ぽつんと単独のデューンというのもあるけれど、たいていデューン同士いくつも連なって、稜線を結んでひとつの列を成している。ナミブ砂海を上空から見ればその列の連なりはまさに風紋。砂漠の景観は典型的なフラクタル図形(部分を拡大すると同じような構造が現れる図形)なのだ。

 

世界最大のデューン帯、ソススフレイ

ソススフレイに発生した池

ソススフレイに発生した沼沢。こうした沼沢が生まれるのは上流に多量の雨が降った年のみで、数年に一度のこと ©牧哲雄

ソススフレイと沼沢 ?牧哲雄

ソススフレイと沼沢 ©牧哲雄

ナミブ砂海のハイライトがソススフレイだ。ここのデューンはカラカラの大地から一気に100~300mも立ち上がっている。高低差100mのデューンがこれだけ連なる景観はサハラ砂漠にも存在しない。まさに世界最大のデューン帯なのだ。

ツアーではたいていこのソススフレイを訪れて、数時間のトレッキングを楽しむ。360度、デューンに囲まれたその景観は凄まじいのひとこと。しかしながらこのソススフレイ、数年に一度、さらにすばらしい景観で人々を魅了する。

ソススフレイの意味は「最果ての沼沢」。上流で雨が降ると、ソススフレイに川が流れ着いて低地に沼沢(浅い沼地)が誕生する。ソススフレイを流れる川はこの沼沢で消え去り、湖や海に出ることがない。そのまま砂漠に飲み込まれて消える幻の川なのだ。