国内旅行は増加の兆し
世界遺産登録で富士山には多くの観光客が押し寄せている
安倍政権が発足して8ヶ月ほどになりますが、日本の経済情勢は劇的に変化したといえども、その恩恵に与っているのは株を保有している富裕者層など一部に過ぎません。この富裕者層などが消費を拡大させて、日本全体の景気が良くなれば、給与アップなど、やがてすべての国民にアベノミクスの恩恵が行き届き、余裕資金で旅行でもしようという人々が増えてくるでしょう。
最近では、富士山が世界遺産に登録され、多くの観光客が詰めかけたように、観光資源を持つ各地域が話題を提供することができれば、消費者の予算の増加と相まって益々国内旅行にスポットライトが当たってくるはずです。
海外旅行は旅行会社のマーケティング次第
海外旅行においては、円安の影響により、この10月から旅行大手各社は最大で10%の値上げを決定しました。今年の年末年始は長期休暇が取得しやすい日並びで、旅行会社は値上げにもかかわらず、旅行者数のアップを見込んでいますが、“超”円高のメリットが薄れた状況では、現実的にはなかなか厳しいものになることが予想されます。ただし、生活トレンド研究所のアンケートでは、全体で48.7%の人が海外旅行への意向を示していることから、マーケティングによっては、海外旅行の需要を掘り起こすこともできるでしょう。
たとえば、最近では価値観の多様化からパッケージツアーでは体験できないようなツアーが人気になっています。アフリカのルワンダで野生のゴリラを観察する秘境ツアーやラオスに象使いの資格を取りに行く象使いツアーなど、人数は少なくても一生の思い出となるような海外旅行が注目を浴びているのです。
このような日常では経験できないような、付加価値の高い旅行を企画できれば、まだまだ新たな需要を開拓できる余地も残っているといえるでしょう。
一方で低価格化に対するニーズもまだまだ根強く、そのような顧客のニーズに対応するためにはLCCなどを活用してコストを引き下げ、国内旅行に負けず劣らない価格を実現できれば、国内旅行客からのシフトも望めます。
現代の消費者の価値や価格に対するニーズは多様化していますが、旅行会社がこの多様化するニーズに応えることができれば、円安という逆境の中でも、旅行者数を伸ばしていくこともできるのではないでしょうか。
【参照サイト】
・生活トレンド研究所
・観光庁
・明治安田生命
・JTB