ジャズギターの練習方法や曲選びのポイントを解説!
小学校で使う楽器を除いて一番演奏され、親しまれていると言われるギター。日本だけに限らずギターはクラシックからポピュラーまで、音楽にとっては無くてはならない楽器の代表です。そして、男女を問わず誰もが一度は弾いてみたいとあこがれを持つ花形楽器でもあります。
そんなギターを一度は手にしたものの、「昔は良く練習したけど、今はもう…」と言う方も多いのではないでしょうか。折角、ジャズに興味が湧いたのですから、この機会に久しぶりにギターを出して、どうせならジャズギターを練習してみませんか。
ギターはソロも伴奏もできる楽器ですので、新しい音楽仲間との出会いがあるかもしれません。きっと、楽しい世界があなたを待っているはずです。まったく初めての方も、良い機会ですので思い切って始めてみましょう。どんな名人でも、誰もが始めの一歩はあったのですから。
ジャズギター入門1:楽器選び
まず、始めるにあたってご自分のギターをお持ちの方は、種類は何であれ楽器はそちらをお使いください。買い替えるのは後になってもいくらでも出来ますし、その方がご自分の好みもはっきりしてくるので失敗が少ないでしょう。初めての方で、ギターをお持ちでない方には、こちらをおススメします。Ibanez Artcore Expressionist AFJ95-VSB
まずは、出費を少なくリスクを減らす意味でも、そして何よりも大切な要因として、ジャズギターを演奏している雰囲気を味わうためにも、フルアコースティック(通称フルアコ)と呼ばれるエレキギターがおススメです。
ギターには、クラシックやフラメンコなどで使われるアコースティックギターとロックやポピュラーシーンで幅広く使われるエレキギターがあります。エレキギターには大きく分けてソリッド、セミアコースティック、フルアコースティックという3つの種類があります。
そして、その今回おススメするのがエレキギターの3種類の内でフルアコースティック(略してフルアコ)というものです。その理由は、写真を見て頂ければご理解いただけると思いますが、ジャズギターと言えば、やはりフルアコというのが、そのサウンドや見た目も含めて多くのリスナーとプレイヤー両方の共通した意見だからです。
楽器を始めると、違うメーカーや種類を欲しがる傾向があります。特にギタリストはその傾向が強いようです。その上、徐々に高額の名器が欲しくなって来るのは、ある意味当然の成り行きです。将来必ず違うものを買うのならば、ご自身が本当にその気になるまで、最初はなるべく出費を抑え、軽く始めるのがコツです。
ジャズギター初心者におすすめのCD第3位
Idle Moments
グラント・グリーンはそのブルージーで、ある意味分かりやすい演奏からロック世代のギタリストからも人気の高いジャズギタリストです。コードでのソロはほとんど取らず、シングルトーンでフレーズの繰り返しが多い独特なソロは、彼が超有名アルトサックス奏者チャーリー・パーカーをアイドルとして、そのアルトサックスソロから多くを学んだ事によるものと言われています。
この曲「アイドル・モーメンツ」では、そのグラントの特徴が最も良く出ています。曲が始まってタイムが3:00のところで2回繰り返して弾いた同じフレーズを4:35から13回繰り返すあたりが真骨頂。
一緒に演奏する、普段は新主流派(1960年代中頃の主流派ジャズの種類)の俊英テナーサックス奏者ジョー・ヘンダーソンも、いつもの凝縮した豪快な硬めの音色を封印しています。そしてサブトーンを中心の夜のささやきのようなオールドなスタイルで吹いているのが可笑しいところでもあります。
いずれにしても、名演ぞろいのこのCDは、当初はリズム&ブルースバンドで働き、サックスのソロに影響を受け「ホーンライク」と言われたグラントの代表作と言えます。
この後に彼は時代の流れに沿ったのか、次第にファンク系(ソウル・ミュージックの種類、ジャズの4ビートとは違い16ビートのダンスミュージック)の音楽を演奏し、アドリブではビ・バップのコードに沿ったフレージングから全体を一つの調性と捉えたペンタトニック(ド・レ・ミ・ソ・ラの5音音階の事)を中心にプレイするようになります。
ジャズ、特にフュージョン系のサックス奏者の中には、マイケル・ブレッカーのように明らかなロックギターからの影響を口にする人も少なくあリません。(例えばマイケルの場合は、音の音程を変化させて、ニュアンスを作るベンドという奏法にロックギターからの影響は明らかです)
また、ロックギタリストと同じように主にペンタトニックでソロを構成するデイヴィッド・サンボーンもその一人です。そこには、コマーシャルなポップ音楽の流行として、70年代までは歌の合間のソロの多くをギターソロが埋めていたのに対して、80年代に入るとサックスソロを入れるのが流行ったという事が理由の一つに挙げられるかもしれません。
それまではポピュラー音楽のスタジオの仕事をするサックス奏者のほとんどがジャズ寄りだったものが、頻繁にコマーシャルな仕事のソロを取る様になった時に、それまでのポップスのソロ場面での主流だったギターソロの影響を受けたとしても不思議なことではありません。
そういう意味では、グラント・グリーンの音楽的変化は、以前ご紹介したジャズアルトサックスの流れ、チャーリー・パーカー(ビ・バップフレーズ)からデイヴィッド・サンボーン(ペンタトニックフレーズ)への流れに近いものを感じます。
43歳で亡くなったグラントがもう少し長生きをしていてくれたら、ギターの世界での新しい流れを作り、もしかしたらジャズアルトサックスの世界にも少なからず影響を及ぼしたかもしれませんね。
Amazon
ジャズギター入門2:練習場所
練習場所は、ご自分の部屋で弾く事が出来る環境でしたら言う事がありません。今からでも始めてください。もし、部屋では無理と言う方は、サックス編やピアノ編でも紹介した貸し音楽スタジオがおススメですが、ギターに限っては、もう一つどこにでもあって気軽に行ける場所があります。それは、「カラオケ」スタジオです。カラオケは元々が大きな音を出しても良い作りになっており、しかも、深夜でも営業している所が多いという利点があります。もちろん事前にお店に確認が要りますが、大体のカラオケスタジオがギター程度の楽器でしたら持ち込んで演奏してもOKです。(アンプにつなぐのはほとんどNGです。生音で鳴らしてください)
値段もリーズナブルなところが多く、飲み物や食べ物は充実していますし、格好の練習場所と言えます。ジャズ練習に飽きたら、もちろんカラオケを歌っても良いですし、昔弾いた曲をカラオケで鳴らして、思い出して一緒に弾いてみる、なんて事も出来ます。
ギターはそういう意味では、管楽器やピアノに比べて、練習場所には恵まれている楽器と言う事が出来ます。さあ、後は頻繁に通って、練習するだけですね。
ジャズギター初心者におすすめのCD第2位
Mr. Rhythm
フレディ・グリーンはギターの持つ三つの特性、メロディ・コード・リズムの内、リズム楽器として特化した名手です。このCDの題名「ミスター・リズム」の通りの音楽人生を一途に歩んだともいえる一徹者です。
フレディの華々しいキャリアはビッグバンドの花形楽団、カウント・ベイシー楽団に始まりそのほとんどを同じ楽団で終えたと言っても良いほどです。そんな彼の最大の特徴は、ギターソロを生涯ほとんど取らなかったことです。いつも「ザッ・ザッ・ザッ・ザッ」と聴こえる、小気味良いコンピング(伴奏のコード)を1小節に4つずつ入れ込む「四つ切り(the rhythm guitar style of four strums to the bar)」という奏法だけで大勢のメンバーのいる楽団を盛り上げました。
このCDは1曲目「アップ・イン・ザ・ブルース」からブルース進行(12小節から成るジャズでは一般的なコード進行)の曲が多いため、彼のテクニックを研究するには恰好のCDと言えます。
ブルース進行はキーを変えて練習すれば、すぐにでも他の楽器とのジャムセッション(その場に居合わせたメンバーで即興的に演奏する事)に入る事が出来るので、まず最初に覚えるべきジャズのコード進行と言えます。
ここでのフレディは、ストイックなまでにアドリブを弾かない、という頑固者のようなイメージよりも、リズム楽器としてのギターを心底楽しんでいるように聴こえます。
Amazon
ジャズギター入門3:曲選びと譜面
いよいよ、楽器と場所が準備できたら、次は曲選びと譜面です。ギターは多くの方が経験者(少なくとも少しは触った程度でもOK)。大きめの本屋にはジャズギターの始め方と言う様な、ハウツー本が置いてありますから、ご自身で判断頂くというのが一番ですが、もしあてが無い方にはこちらをおススメします。入門・目からウロコのジャズ・ギター(DVD付)
曲選びは、始める方の経験値によりますので、こちらもご自身で選ぶ事をおススメします。教則本にはDVDもついていますので、初めはそちらに沿って練習すると良いでしょう。ある程度弾ける方は、有名ギタリストのコピー譜なども売っていますので、どんどん先に行ってくださいね。まったくギター自体が初めての方はこの辺から始めてください。
いちばんはじめに読むシリーズ 超入門 エレキギター塾 (いちばんはじめに読むシリーズ)
超入門の方は、とりあえずギターになれるためにも教則本の通りにされる事をおススメします。ある程度ギター自体になれたら、ジャズギターへと移行しましょう。千里の道も100mの道も一歩から。いつか到達する事を信じて気軽に、楽しんでくださいね。ジャズギター初心者におすすめのCD第1位
Kenny Burrell & John Coltrane
このCDの4曲目「ホワイ・ワズ・アイ・ボーン」では、ブルージ―な中にも品格が感じられるケニー・バレルと録音された1958年当時、日の出の勢いで売り出し中だったジョン・コルトレーンの美しいデュオが聴くことが出来ます。
二人だけでの演奏により、雑味が消え、甘さを廃したテーマの清んだ湖のような透明感が感じられる演奏になっています。演奏自体も素晴らしいものですが、今回は今後の期待感も含めてのおススメ第1位としました。
それは、この曲を弾けるようになったらぜひ私のテナーサックスとデュエットしませんかと言う事です。私も一所懸命練習しますので、いつの日かぜひ一緒にやりたいものですね。
今回の「忙しい方のための ジャズ楽器やろうぜ! ギター」編はいかがでしたか。次回はドラム編をお送りします。また次回お会いしましょう!
Amazon
【関連記事】