日本人初の表彰台に

日本人が世界最高峰の料理コンテスト「ボキューズ・ドール2013」で魚料理部門でダントツの第1位を獲得した。総合でも3位、銅メダルの快挙は今年の1月末のことだった。これまでは6位入賞が最高だったことからも、日本のフランス料理の水準を世界中に大きく認めさせることになったのは実に意義がある。
ユカワタン

自身を表現するために様々なプレゼンツールが用意された

フランスの食の都、リヨンで2年に一度開催されるこの大会は、誰でも出れるわけではない。エリア毎に予選があり、それに勝ち抜いて初めて会場に足を踏み入れることができる。優勝者は大きな権威を得ることができ、ビジネスにおいても大きな成功を収めることができる可能性があるから、各国とも想像以上の熱気と、周到な準備を経て大会に臨んでくる。最近は北欧勢の躍進が目立っていた。

日本ではテレビで「料理対決」といったバラエティ番組はあるものの、鳥肌が立つような「料理コンテスト」があまりない。なのでフランスでこうした世界大会(いわゆる料理のオリンピックのようなもの)が行われていることすら知らない人も多いのではないだろうかと思う。
ユカワタン

表彰状がダイニングへのアプローチに飾られる。日本のフランス料理界全体で勝ち取ったといっても過言ではないだろう。

そうした壁を日本人として初めて打ち破ったのが、軽井沢のレストラン、ユカワタンの総料理長、浜田統之氏だ。その壁とは「日本」そのもの、強いては日本人そのもののアイデンティティを表現することだ。出場する各国はある意味フランス料理を越える自国のフランス料理を作ることが求められる。そして、それを支えるチームとしての機能性も極めて重要だ。決められた時間で一度にフルコース14人前を作らなくてはいけないからだ。

スポンサー、所属している星野リゾート、多くの先輩達からのプレッシャーは相当なものがある。何と言っても一年半以上もの間「ボキューズドール」のことを考えて、日々の仕事を進めていかないといけない。

精神力について聞いてみたが意外な答えが返ってきた。

「確かにキツイ時もありましたが、実はそうでもないんですよ。よく眠れましたし(笑)」

話は続く。

「でも最後にふっと浮かんだんです。勝ち負けというより、日本人として生まれて日本で、それも長野県で独創的なフランス料理を作り続けているということを、力強く表現したい」と。

これはまさしく「個の力」ではなかろうか。

神は深く覚悟した者のみに宿るとは、柔道家であった谷亮子氏の言葉ではあるが、きっとそういった心境で会場に入り、包丁を握ったに違いない。

さて、その様子は随分いろんなメディアで取り上げられているので割愛するとして先般体験してきた軽井沢のホテルブレストンコート内にある、ユカワタンの料理から世界No.1の魚料理、そして銅メダルの料理を紹介したい。
ユカワタン

林の中にひっそりと小さな看板がある