日本人にも身近なドイツ語とは?
今回ご紹介したいのは、今日も日本語の一部として用いられている、そうしたドイツ語由来の言葉たち。皆さんは、いくつご存じでしょうか。
<目次>
<身近なドイツ語>
<身近なドイツ語>
身近なドイツ語1. 医学系の語彙
我がドイツの医学薬学は世界一ィィィ!
とは某有名漫画キャラの台詞ですが、19~20世紀前半にかけ、ドイツ語圏の医学水準は実際、世界の頂点に君臨していました。そうした背景もあり日本語の医学系語彙も、大半はドイツ語からの借用となっています。
ちなみに医者が診療結果を記入するカルテもドイツ語のKarte(カルテ)から。ただし、これは「カード」一般の意味で、日本語でいうカルテの意味にあたるのは、Krankenbericht(クランケンベリヒト)になります。
さらに医療従事者にとってドイツ語は単に実用性のみならず、患者に無用な情報を漏らさないための隠語の役割も果たしてきました。der/die Kranke(クランケ/病人)に由来するクランケ、essen(エッセン/食べる)から食事休憩のエッセン、sterben(シュテルベン/死ぬ)からのステる、などは、そうした隠語の一部だとのこと。
また自然科学の術語について言えば、医学以外でも、Energie(エナギー)からエネルギー、Vektor(ヴェクトーア)からベクトル等、やはり先進国の言語であったドイツ語からの借用語が数多く用いられています。
身近なドイツ語2. 政治・経済関連の語彙
続いては、政治・経済関係の借用語を。 「反対命題」を意味するアンチテーゼはヘーゲル、「賃金労働者階級」を意味するプロレタリアートはマルクスとエンゲルスという、ドイツの思想家由来の術語ですね。「暴力」を意味するゲバルトは元々学生運動の隠語ですが、むしろ「内ゲバ」「ゲバ棒」といった用法で馴染みがあるかと思います。
もう一つ、ニュースで折々目にするのが、スローガン等を唱和するシュプレヒコール(Sprechchor)。一見して明らかなように、sprechen(シュプレッヒェン/意見を言う)とChor(コーア/合唱)の合成から成る、ドイツ語由来の表現です。
身近なドイツ語3. スキーや音楽など文化に関する語彙
その他、スキーに登山、音楽に料理、自動車にペットと、様々な場面でドイツ語由来の単語が登場します。 親しみある名称の数々ですが、元の意味から逸れた語もあるのでご注意を。ドイツでウィンナー(Wiener)、オーストリアでフランクフルト(Frankfurter)といえば、茹でソーセージ
一方、日本語のアルバイトに該当するドイツ語は、英語由来のJob(ジョプ)になります。
またウィンナーといえば、日本では子供から大人まで、たいへん人気なおかず。たこさんウィンナー炒めなんて、おつまみにもぴったりですね。
が、ドイツの屋台でウィンナーソーセージ(Wiener Würstchen/ヴィーナー ヴュルストヒェン)を注文すれば、出てくるのは「茹でた」腸詰。つまりそちらでは「ウィーン風(Wiener)」とは、素材の種別よりもむしろ調理法を指す表現というわけです。
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