「アイネ・クライネ」って、人名じゃありません!

ジャンルを問わず、音楽は人の心に喜びを与えてくれます

ジャンルを問わず、音楽は人の心に喜びを与えてくれます

ドイツ語で「音楽」はMusik(ムズィーク)。Museum(ムゼーウム/博物館)等と同様、ギリシャ神話に登場する芸術の守護女神Muse(ムーゼ/ミューズ)に由来する語です。

ちなみにモーツァルトの名曲『アイネ・クライネ・ナハトムジーク(Eine kleine Nachtmusik』は、「ある(eine) 小さな(kleine) 夜の(Nacht) 音楽(Musik)」という意味(付加語としての冠詞や形容詞の格変化については、こちらの記事を参照ください)。

代表的な音楽ジャンルを以下のように定冠詞付きで並べてみます。

  • die Musik(ディー ムズィーク/音楽)
  • die klassische Musik(ディー クラスィシェ ムズィーク/クラシック音楽)
  • der Jazz(デァ ジャズ/ジャズ)
  • die Popmusik(ディー ポップムズィーク/ポップミュージック)
  • die Rockmusik(ディー ロックムズィーク/ロック)
  • der Techno(デァ テクノ/テクノ) 

ちなみにドイツ語でのヒットソングのことをder Schlager(デァ シュラーガー)と言います。schlagen(シュラーゲン/たたく)からの造語で、ちょうど英語のhitに相当しているわけです。

様々なジャンルの名称

ドイツ語圏はやはりクラシック音楽で知られているので、今回は特にクラシック関係の語彙を紹介しましょう。以下のようなジャンルが代表的。

  • die Symphonie (ディー ズィンフォニー/交響曲)
  • das Konzert (ダス コンツェルト/協奏曲)
  • die Kammermusik (ディー カンマームズィーク/室内楽)
  • die Suite (ディー スウィートゥ/組曲)
  • die Vokalmusik (ディー ヴォカールムズィーク/声楽)
  • die Instrumentalmusik (ディー インストルメンタールムズィーク/器楽)
  • die Sonate (ディー ゾナーテ/ソナタ)
  • der Marsch (デァ マルシュ/行進曲)
  • der Walzer (デァ ヴァルツァー/ワルツ)
  • die Oper (ディー オーパー/オペラ)
  • die Operette (ディー オペレッテ/オペレッタ)

さすがにクラシック用語はsinfonia、concerto、sonata、opera、operettaといったイタリア語の語彙を借用したものが大部を占めています。語源上面白いのはKonzert(協奏曲)で、イタリア語のconcertoの元である動詞concertareは「調和させる」を意味するのに、その由来であるラテン語のconcertareまでたどると「競争する、張り合う」の意となります(どちらに転ぶかは指揮者の力量次第、ということで……)。

いくつかのジャンル名を構成しているdie Kammer(小部屋)、vokal(歌の)、das Instrument(楽器)といった語彙もぜひ覚えておきましょう。

ウィーンフィルの「フィル」って?

その他、楽団や楽器名を挙げておきます。

  • das Orchester (ダス オルケスタ/オーケストラ)
  • der Philharmoniker (デア フィルハルモニカー/管弦楽団)
  • der Symphoniker (デア ズュンフォニカー/交響楽団)
  • der Komponist (デア コンポニスト/作曲家)
  • der Dirigent (デア ディリゲント/指揮者)
  • der Konzertmeister (デア コンツェルトマイスター/コンサートマスター)
  • der Chor (デア コーア/合唱団)
  • die Geige (ディー ガイゲ/ヴァイオリン)
  • das Klavier (ダス クラヴィーア/ピアノ)
  • das Cello (ダス チェロ/チェロ)
  • die Flöte (ディー フレーテ/フルート)
  • die Oboe (ディー オボーエ/オーボエ)
  • die Pauke (ディー パウケ/ティンパニー)
  • die Trommel (ディー トロメル/太鼓)

Musikverein

ウィーンフィルの本拠地、楽友協会(Musikverein)は、クラシックファンの聖地の一つ

「ウィーンフィル」や「ベルリンフィル」でおなじみPhilharmoniker(フィルハルモニカー)。「調和(Harmonie)を愛する(phil-)者たち」を意味します。一方、Symphoniker(ズュンフォニカー)は、「響き(-phonie)を合わせる(sym-)者たち」が原意です。

「ヴァイオリン」は、イタリア語から借用したdie Violine(ディー ヴィオリーネ)と共に、ドイツ語由来のGeigeも併用されます。原義は不明ですが、「ヴァイオリニスト」を意味するGeiger(ガイガー)は、同名の発明者から取られた放射線量測定器名として知られているところです。

Flöteは古いフランス語からの借用語ですが、やはりモーツァルトのオペラで、「魔法の笛」を意味する、“Die Zauberflöte(ディー ツァウバーフレーテ/魔笛)”の名称と共に覚えておきましょう。

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