「自動車」といえば、フォルクスワーゲン

まずはフォルクスワーゲンからゆきましょう。ドイツ語ではVolkswagen(フォルクスヴァーゲン)。「国民(Volk)の車(Wagen)」の意で、富裕層のためだけでない、国民(大衆)のための車、という理念から生まれた社名です。VolkWagenはそれぞれ、英語のfolk、wagonに対応します。

VW

ビートルタイプ1の日本での登場は、1953年のこと

さて、同社のイメージを特徴付けた車両といえば、言わずと知れたビートル。その甲虫状の形姿からの名称で、昆虫名の記事で触れたように、ドイツでの初代ビートルの愛称はドイツ語名でKäfer(ケーファー/甲虫)となります。

このフォルクスワーゲン社のモットーはズバリ、Das Auto(ダス アオト/自動車)。これはAutomobil(アオトモビール/自動(車))が略されたもので、Wagenが馬車、荷車等を含む車一般を指すのに対し、特に「自動車」を意味します。シンプルながら、自動車作りへのこだわりが表れていますね。


駆けぬける歓び BMW

BMW

バイエルンの州都ミュンヒェンには、BMW博物館も存在します

続きましては、BMWアルファベート記事で説明しましたように、ドイツ語読みでは「ベー エム ヴェー」となります。正式名称はBayerische Motoren Werke (バイエリッシェ モトーレン ヴェルケ)。Werkは普通「仕事」や「作品」のことですが、ここでは大規模な工場のことで、故に日本語では「バイエルン発動機製作所」といった意味に。社名にMotoren(モトーレン/エンジン)とあるのは、同社が元々航空機エンジンメーカーとして出発したことに由来します。「バイエルン」とはミュンヒェン、ニュルンベルクなどを含む、ドイツ南部の州。おなじみ青白のエンブレムはバイエルンの州旗を模したものだそうです。

同社によるドイツ語名称を持つ車両に、Neue Klasse(ノイエ クラッセ)というシリーズがあります。1962年から10年にわたり製造され、BMWを以後の興行的成功へと導いた、文字通り「新たな(neu)クラス(Klasse)」の車両群です。

また同社にはBMWモトラッドという、オートバイの製造・販売を担当する子会社が存在します。このモトラッドとはMotorrad(モトーアラート)のことで、エンジン(Motor)によって走る車輪(Rad)、すなわちオートバイを意味するわけです。

このBMWのモットーは、Freude am Fahren(フロイデ アム ファーレン)。乗り物で走る(fahren)際の喜び(Freude)ということで、日本語版は「駆けぬける歓び」となっています。


技術による先進 アウディ

AUDI

アウディエンブレムの4つの輪は、基体となったホルヒ、アウディ、ヴァンダラー、DKW4社を指すものとされます

アウディAudi)の社名はラテン語のaudioという動詞によります。英語の「オーディオ」の由来でもある語で、「聞く」という意味なのですが、Audiとはその命令形、つまりラテン語で「聞け!」の意なのです。

なぜこのような社名となったのかといえば、その理由は創業者であるホルヒ(Horch)氏の名前にあります。氏は元々自身の名を冠したHorchという自動車メーカーの経営者でありましたが、そこを追放され新たな会社を立ち上げた際、自分の名がドイツ語の動詞horchen(注意深く聞く)の命令形horch!(聞け!)と同じつづりであることから、それをそのままラテン語に置き換えたAudiを社名として採用することを決断した、というわけです。

このアウディ社のモットーはVorsprung durch Technik(フォアシュプルング ドゥルヒ テヒニク)。Vorsprungspringen(シュプリンゲン/跳躍する)の名詞形Sprungに前つづりvor(前へ)が付いたもので、「技術による(durch Technik)先進」という意味になります。


最良か無か メルセデス・ベンツ

最後にダイムラー社のブランド、メルセデス・ベンツMercedes-Benz)を。ドイツ語での発音は「メルツェデス・ベンツ」になります。ブランド名のベンツは、創業に関わった技術者カール・ベンツ(Karl Benz)氏の名から。一方、メルセデスはと言えば、ダイムラー社の支援者であった富豪エミール・イェリネク氏の娘の名によるものです。Mercedesとは元々スペイン語での女性名で、その意味は「大いなる恵み」。英語のmercy(慈悲)等と同語源の語です。

BENZ

車頭で際立つ星状のエンブレム

そのメルセデス・ベンツのシンボルといえば、三本矢のエンブレム。ドイツ語ではMercedes-Stern(メルツェデス シュテルン)、つまり「メルセデスの星(Stern)」と呼ばれます。この「シュテルン」という語は、メルセデス・ベンツ車両の日本での販売店の商号としても用いられています。

そして同ブランドのモットーは、Das Beste oder nichts(ダス ベステ オーダー ニヒツ)。Das Besteは形容詞best(最高の)を名詞化したもので、「最良か、無(nichts)か」。創業者ダイムラー氏の言葉だそうですが、常に最高の品質を追求してやまない、同社の経営理念が込められた一句といえましょう。


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