家計簿をつけなくても貯まる夫婦の共通点は?
前ページでご紹介した、家計簿なしでも貯金できる田中さん夫婦と山田さん夫婦には、ある共通点がありました。それは次の3つです。■その1:長期的なスパンで家計を考えている
貯まる理由は、夫婦共通の人生の目的がある
片働きの田中さん夫婦の場合、老後も安心して暮らせるように、長期的な視点で、貯金のイメージを持っています。共働きの山田さん夫婦の場合は、30歳前半までがキャリアの形成期と考え、最優先でキャリアアップに取り組んでいます。30代までのキャリア形成が将来の収入に大きくプラスになるという、共通の価値観があります。
■その2:家計管理のルールがあり、そのルールをしっかり守る
長期的なスパンの考えに基づいて、家計管理のルールを決め、そのルールをしっかり守ることが重要です。
田中さんの場合、基本的には毎月の給料の範囲内で家計の支出を抑え、ボーナスは貯金に回しています。ライフステージの変化に合わせて、ボーナスの貯金額は変化しますが、基本姿勢は変わりません。年間の予算立てをしつつ、基本生活費は決められた範囲内で抑えるようにしています。
山田さん夫婦の場合、支出の優先順位を決め、キャリアアップ、年に1回のぜいたく、普段の生活は質素に、という基本方針に基づいて日々の生活を過ごします。
「家計簿をつけなくても支出は抑えられるの?」という疑問を抱く人もいるかもしれません。2組とも共通して、「普段と同じ生活をしているだけで、ムダ使いをする気持ちにならない。そもそも、節約をしていると感じることもない」とおっしゃいます。
明確な目的を持って決められたルールを長年続けることによって、それが当たり前のように生活の一部に取り込まれているといえるでしょう。
■その3:夫婦仲がよく、密にコミュニケーションを取っている
家計管理は、夫婦の協力が大切です。どちらか一方が努力していても、他方の協力がなければ長続きはしませんし、夫婦ゲンカの火種にもなりかねません。田中さん夫婦も、山田さん夫婦も、自分たちと家族の将来のことや、お金のことを普段からよく話しているそうです。
夫婦間で普段から将来のことや、お金のことを話し合っていることが、夫婦間の家計管理の究極の目的を再確認し、家計管理のルールを守る意識づけとなっているのでしょう。
それでも、家計簿は必要か?
「家計簿は必要か不要か?」と問われた場合、やはり、必要だと考えます。田中さん夫婦の場合も、最初は家計簿をつけていて、支出の管理ができるようになってから、家計簿をつけなくても貯金ができる家計になったのです。例えば、貯金先取りの家計管理で、決められた生活費の中で家計のやりくりをしようと思ったけれども、うまく予算の範囲内に納まらないことがあったとします。その場合は、支出の中からムダな出費がないかを確認し、それを改善する必要があります。そのためのツールとして家計簿が必要になるのです。「貯金ができない」「家計管理がうまくいかない」と感じる人こそ、家計簿が必要なのです。「手間暇かけて家計簿をつけても効果は得られない」と言い訳をする人ほど、貯金はできません。
うまくいっている家計にも落とし穴がある
家計管理が上手にできてしっかり貯金ができている場合でも、注意しなければならない点があります。例えば、毎年100万円貯金をすると決めていて、それを達成できたとします。確かに、目標通り100万円の貯金ができたことは素晴らしいのですが、将来予定している出費や自身のやりたいことを実現するために必要なお金、という視点で見直した時、100万円という貯金では不足しているかもしれません。貯金をすることの究極の目的は、自分と家族が幸せになることです。やはり、ライフプランやマネープランという長期的な計画の中で、自分たちに相応しい貯金目標を決める必要があるのです。ライフプラン、マネープランから、今の貯金目標、家計管理の方法が適切かどうか、夫婦でもう一度、見直してみましょう。
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