ふたりで学ぶマネー術/ふたりで学ぶマネー術

定年後のライフプランも夫婦で早めに考え始めよう!

先輩や上司が定年退職の準備をする様子を見て、「自分たちも、定年後はゆったり過ごしたいな~」「第二の人生、旅行や趣味を楽しみたい!」など、思い描くこともあるのではないでしょうか。まだまだ先と思っても、時間はあっという間に過ぎていきます。今から少しずつ準備ができるよう、今回は定年後のライフプランの考え方について解説します。

平野 直子

執筆者:平野 直子

ふたりで学ぶマネー術ガイド

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人生100年時代に突入! 末永く健康で豊かに暮らすためには?

日本人の平均寿命は、現在、男性81.41歳、女性87.45歳ですが、例えば60歳まで無事に生きられた方の平均余命は、男性23.97年(83.97歳)、女性29.17年(89.17歳)と、平均寿命よりも長く生きられる可能性があります。

また、65歳まで無事に生きられると、男性19.83年(84.83歳)、女性24.63年(89.63歳)と、さらに長く生きられる可能性が高くなります(令和元年簡易生命表より)。
金婚式だけじゃなく、ダイヤモンド婚式、プラチナ婚式もめざそうか!

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医療の進化等で日本人の寿命も延び続け、令和2年9月現在、100歳以上のご長寿は、全国で8万450人と8万人以上いらっしゃるとのこと。前年より9176人増えたそうです(住民基本台帳より)。

平成27年の調査では、6万1568人でしたので、たった5年で2万人近く増えたことになります。100歳が珍しくなくなってきた時代、末永く健康で豊かに暮らしたいですよね。

●参考コラム:「人生100年時代!?のライフ&マネープラン術」
 

セカンドライフをイメージしてライフプランを作ってみよう

退職後も20年以上あると思うと、やりたいこともいろいろあると思いますが、気になるのは資金面です。まず、ご自身やご家族が、(定年)退職後にどのような暮らしをしたいかをイメージして、セカンドライフ用にライフプランを作りましょう。
FPオフィス Life & Financial Clinic All Rights Reserved

FPオフィス Life & Financial Clinic All Rights Reserved

例えば、「定年後も○歳頃まで何かしらの仕事をしたい」「長い日数をかけて旅行をしたい」「〇歳~〇歳まで、南の島に毎年〇カ月滞在」「大学に通いなおしたい」「ボランティアなど社会貢献活動をしたい」など、まずはお金のことを気にせずに書き出してみましょう。

このとき、大まかにかかる費用が分かれば、同時に書き出しておきます。費用が分からない場合は、今後少しずつ費用についても情報を集めてみましょう。
 

老後にかかる費用、わが家はどれくらい?

暮らし方のイメージができたら、マネープランを作ります。「いつ、いくらお金がかかるか?(ライフイベント、生活費、住まい、介護など)」「収入は、いつからいつまで、いくらぐらいか?(退職金、年金、勤労収入など)」を年単位で計算し、人生を通して貯蓄が尽きないか計算します。

老後の生活費は、人によって異なりますが、ご参考までに高齢者世帯の家計状況(月額)を統計からご紹介します。
家計調査をもとにガイド平野が図表作成

家計調査(総務省)をもとにガイド平野が図表作成

2020年の家計調査(総務省)によると、夫が65歳、妻が60歳以上の高齢夫婦(無職世帯)の実収入は、約25万6000円です。税金や社会保険料を差し引き後、自由に使えるお金(可処分所得)は約22万5000円、物やサービスのための消費支出は約22万4000円です。

新型コロナウイルス感染症の影響などで消費が減少したことや、特別定額給付金の支給などで所得が増加したため、約1000円の黒字となっています。

2020年は、新型コロナウイルス感染拡大で、家計も大きな影響を受けましたので、ご参考までに2019年と2018年の家計調査もまとめました。2019年は、実収入約23万8000円、可処分所得約20万7000円、消費支出約24万円で、毎月約3万3000円の赤字を、貯蓄から補っているという状況でした。

2018年も、2019年と大きな違いはなく、毎月約4万2000円、貯蓄を取り崩している状況でした。新型コロナウイルスが収束した後は、2019年に近い家計収支になるのではないかと思います。

家計調査のデータは、あくまでも全国平均ですので、例えば、都心に住む方は住居費がもっと高かったり、お住まいの地域によって、光熱費が高くなる場合もあります。また、「食材にこだわっているので食費にはお金をかけたい」など、各家庭で優先順位があるので、目安程度になさってください。
 

遠い将来の生活をイメージするのは難しい!?

「今から老後の生活費なんてイメージしにくい」という場合は、今の生活費を参考に、まずは、今の生活レベルを落とさないとどれくらいの支出になるか、整理してみましょう。
老後は自家菜園を楽しみたいから食費は減るかも!?

老後は自家菜園を楽しみたいから食費は減るかも!?

また、皆さんが65歳頃になる時代は、現在の高齢者よりももらえる年金が少なかったり、医療・介護費の自己負担額が増えたりする可能性があります。「入るお金は少なく、出るお金は多く」など、将来の家計を堅めに見積もることをおすすめします。

ライフプランをご自身で作る場合は、エクセルなどの表計算ソフトが便利ですが、自治体やNPO法人などが開催するライフプラン講座や、ファイナンシャルプランナーへの相談を利用するのもよいでしょう。

●参考コラム「備えあれば憂いなし? 夫婦でFP相談のススメ」
 
100歳までシミュレーションしておこうか!

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家計を改善する3つの方法

ライフプランを作った結果、将来貯蓄が尽きる(家計が破綻する)可能性がある場合は、家計を見直す必要があります。家計を見直す方法は、次の3つです。貯蓄が不足する時期や金額、ご自身やご家族の状況に合わせて、実行しましょう。
 
  1. 収入を増やす:夫婦それぞれ、再雇用や再就職など、緩やかでも働く期間を延ばす。
  2. 支出を減らす:住宅ローンの繰り上げ返済、保険の見直し、ライフイベントの予算見直しなど、家計の見直しをする。
  3. 運用利回りを上げる:インターネット定期、キャンペーン金利、個人向け国債、投資信託(元本割れのリスクはあるが)などを活用する。
 

健康で豊かな老後に向けて夫婦で準備を始めよう

第二の人生を考えるというと、「そんな先のことは、分からない」「プランを立ててもその通りにならないから意味がない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
定年後はカフェを開きたいな……。開業に必要なこと、少しずつ調べてみようか?

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けれども、今の時点で予測できることがあれば、その対策として計画的に住宅ローンの繰り上げ返済をしたり、定年後も働けるように今からキャリアアップをしたり、職場以外の人との交流を広めたり、資産運用を始めたりすることも可能です。

(定年)退職目前になって、「こんなことになるなら早く始めておけばよかった」というのは、大変もったいないです。夫婦が元気で末長く、幸せな老後を過ごせるように、やりたいことを探すための情報収集を始めたり、健康づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

【関連リンク】
●エンディングノートでふたりらしく幸せに生きよう!
●人生100年時代!?のライフ&マネープラン術
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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