魅力的な建築と自然景観が共存する街、ユヴァスキュラ
街の真ん中に湖が横たわる、爽やかで潤いある街並みが特徴のユヴァスキュラ。市民プールや劇場、大学などさまざまなアールト建築に囲まれた暮らしも魅力的
ヘルシンキから列車で約3時間あまり北上した先にある、中部フィンランドの中心都市ユヴァスキュラ(Jyväskylä)は、いわゆる観光産業に特化している都市ではありませんが、都市機能と自然とのバランスがとれた、人びとにとって暮らしやすい街として定評があります。
ユヴァスキュラは大学街としても知られ、キャンパスは湖の両サイドにまたがっている
街の真ん中に横たわるユヴァス湖をはじめ、街のどこからでも少し歩けば美しい湖が広がる、湖水地方ならではの風光明媚な景色がなんといっても魅力。夏はそこらで人びとが湖水浴やボート漕ぎ、釣り、近年はやりのフライボートやスタンドアップパドルボートやなどを楽しみます。いっぽう冬場には、凍った湖上が巨大スケートリンクやクロスカントリーコースに早変わり。さらに中心街からそう遠くない場所にはスキー場やスパ施設も数多くあり、7月末にはWRC(世界ラリー選手権)の開催地としても盛り上がります。このようにスポーツやウェルネス・アクティビティがさかんな街として知られるいっぽう、ユニークなミュージアムや劇場の数も多く、アートイベントなども頻繁に開催されています。
ユヴァスキュラ郊外にあり夏の間だけ見学ツアーの開かれるアールトのサマーハウス
またユヴァスキュラといえば、国民的建築家アルヴァ・アールトの足あとが残る街としてとりわけ有名です。アールトは幼少期から高校卒業までの日々をこの街で過ごしたうえ、大学卒業後に最初のオフィスを構えた街もユヴァスキュラでした。それゆえ市内では、あらゆる年代のアールト建築が現役で使われているほか、自身が建物を設計したアールト博物館も観光名所となっています。さらに街の周辺では、アールト建築だけでなく内陸地方ならではの個性的な歴史建築や、目を引く技巧的な現代建築なども多く見られます。
市内移動は徒歩または自転車が便利、郊外の観光地へはバスや列車を使って
ユヴァスキュラの市内移動に一番便利なのは自転車。冬以外はレンタサイクルを利用すると市内のあちこちが効率よく見て回れる
ユヴァスキュラ市内はバス網もありますが、便数や乗り継ぎもあまり良くないので、こまめに利用しようとするより徒歩で移動するほうが効率がよいということも。足場のよい季節ならもっともオススメなのが自転車。市街地はさほど広くないので、効率よく目的地を巡ることができる上、およそどこにでも無料の駐輪場が見つかります。レンタサイクルサービスは、市内の各ホテルや、
アールト博物館などがおこなっています。
緑色の市バスは、すべてショッピングセンターForum前のターミナルを経由する。各進行方向ごとに複数の停留所があるので、バスナンバーの看板を要確認
いっぽう、セイナッツァロの村役場やムーラメの教会など、郊外の人気アールト建築を訪ねる際にはバスかタクシーの利用を。ユヴァスキュラ市内・近郊のバス網は
検索サイトで詳しく調べることが可能(ただしサイトはフィン語のみ)。バスターミナルは、
観光案内所が1階に入ったForumというショッピングセンター(Asemakatu 7)の前にあり、市バスはすべてここを発着または経由しています。
世界遺産の教会があるペタヤヴェシへは、在来線列車または長距離バス(
オンニバス含む)が運行しています。長距離バスの発着所は、上述した市バスターミナルとは異なるので(鉄道駅の東側に併設)ご注意ください。
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