蔵訪問リポート
自然豊かな場所に立つ蔵
獺祭のキャッチコピーは「山の中の小さな蔵」だった。先日、周東町獺越(おそごえ)にある蔵を訪ねて驚いたがこのキャッチ通りまさに山の中の中。地元のタクシー運転手さんも道を間違えたほど。
新しく建設されるビルのイラスト。獺祭のオーラが見えるようだ
蔵は3年前に建てた1号蔵と去年増築した2号蔵で18000石の稼働体制にあり、「小さな蔵」のコピーを使わなくなったことを実感できるが、なんと2014年12月には地上12階のビルになり製造能力5万石になるのだとか。目下の問題は原料の山田錦が足りないこと。ちなみにこのビル、東山口で最も高い建物になるらしい。これまたすごい。
時間を計りながら丁寧に米を洗う「限定吸水」
蔵を訪れた時はスタッフが精米を行っていた。機械と手作業を合わせきめ細やかな限定吸水を行う。極限まで磨いた米は細心の注意で吸水を行う必要があるのだ。また、磨いた米を乾かさないようにオリジナルでビニール袋も考案した。
麹室。湿度が高いのでカメラが曇る。広くて清潔だ
現在の製造割合は、「磨き50」が65%、「3割9分」が25%、「2割3分」が10%、スパークリングが10%という内訳。製造スタッフは35名だが、出荷や瓶詰などの作業を入れると総勢100名になるという。10年前には6人だったとか。
ヤブタと遠心分離機の飲み比べ。やはりワイングラスを使用
麹室も大きく清潔だ。小さく輝く麹米を口に含むと蒸した栗のような優しい甘さがする。この日、ヤブタ(機械製の上槽機)でしぼったものと遠心分離機でしぼったものをテイスティングさせていただいた。蔵の中でのテイスティングがどの部署でもワイングラスを使う。これもまた新しい日本酒の在り方だ。香りあっての酒。通常の蛇の目のお猪口では香りがわからない。
遠心分離機。これで最終的な味わいが決まる。ラベルにも記載される
この日のテイスティングでは、「遠心分離」は香りが穏やかで、コクがあり、「ヤブタ」は香りが華やかで、甘味があった。通常は逆らしいが。