イヤイヤ期や思春期とは違う! 小学生の子ども時代に獲得すべきもの
多くの新しいことに取り組む小学生時代は、自分に対する「有能感」を獲得していくことが大切です
イヤイヤ期や、反抗期、思春期に比べると、小学生の子どもは比較的落ち着いていると感じる方が多いようです。
とはいえ、無邪気にも見える子どもたちの心には、この時期ならではの葛藤や不安もあります。小学生時代の子どもたちは、何を望み、何を考えているのでしょうか?
小学生の子どもたちは、幼児期のような甘えは許されない、学校という集団の中に属することになります。毎日のスケジュールは決められており、勉強や運動などの学校活動に勤しむことになります。また、学外でも習い事や、塾、スポーツサークルなど、さまざまな活動に挑戦していくことになる時期でしょう。こうした毎日の中で、たくさんの学びに子どもながら真摯に取り組もうとするのが、小学時代の子たちです。
心理学者であるE.H.エリクソンによると、人は一生の間に、8段階の「発達課題」に対峙すると考えられています。小学時代の年齢は、第4期の「勤勉性」と呼ばれる発達課題に挑戦する時期にあたります。ここで言う「勤勉性」とは、自分がやるべきことをしっかり頑張り、成功させようと努力することです。
このように、やるべきことに勤勉に取り組みながら、「自分はできる!」という有能感を獲得していくのが、この時期の子どもたちの課題です。
小学生の心理……勤勉性が生かされないと「劣等感」に陥る
小学生時代は、劣等感ではなく有能感を育てる時期
劣等感を感じることは、必ずしも悪いわけではありません。劣等感を味わってこそ、「この状況から抜け出そう!」という意欲が生まれ、成長できるのです。とはいえ、「努力してもどうにもならない」「頑張っても評価をしてもらえない」という状況が続くと、強固な劣等感に陥り、自信を失ってしまいます。
したがって、小学生の子と関わる大人は、この時期の子どもが発揮する勤勉性に注目し、有能感を得られるように見守っていくといいと思います。
勉強や運動が苦手な子どもへの接し方
「できないところ」ではなく「できているところ」に注目する
そこで、大切なのは「できないところ」に注目するのではなく、頑張っている姿勢や少しずつでも伸びている、という事実をよく見て、それを伝えてあげることです。
勉強の成績が伸びない子には、テストの結果だけで「できない」と言うのではなく、その子がどのように答えを解こうとしたかをよく見てあげることです。「よくここに気づけたね!」「この問題、間違わずにできるようになったね」と本人なりに頑張ってできたこと、一歩ずつでも成功していることをしっかり見て、言葉にしてあげるといいと思います。
運動が苦手な子も同じです。「運動神経が鈍い」「かけっこが遅い」などと、結果で決めつけるのではなく、「クロールができるようになったね」「逆上がりが上手になったね」というように、できているところ、上達しているところを指摘してあげるといいと思います。また、たとえ「体育」が苦手でも、子どもは本能的に身体を動かして遊ぶことは好きなのです。体育の枠を超えた身体活動は、たくさんあります。そうした身体活動を遊びながら体験することで、自分なりの好きな運動を見つけていくこともできます。
子ども時代の有能感は一生の宝物
「自分はできる!」という有能感は、自分を一生伸ばしてくれる
そもそも、人にはそれぞれ得意、不得意があって当たり前。社会の中ではお互いの得意を活かし、不得意を補い合い、協力して生きていければいいのです。しかし、人は自分に不足していることばかり気にし、自分の持つ力には注目していないものです。その上、人から「あなたはこれが苦手ね」「どうしてこれができないの?」などと言われ続けると、有能感は育たず、劣等感ばかりが植え付けられてしまいます。
何気ない毎日の中でも、子どもは「得意なこと」や「できていること」をたくさん発揮しています。ぜひそれを見出し、子どもに伝えてあげましょう。その一言が、その子の「一生の自信」につながっていきます。