マンションの床を支える板状のコンクリートのこと。床版ともいう。子どもが走り回る音などの重量床衝撃音は、スラブの厚さと音の響き方が関係する。原則はスラブが厚いほど遮音性能が高くなるという関係だ。
ひと昔前のマンションはスラブ厚が15cm~18cm程度というケースが多かったが、最近では20cm前後が多くなっている。それだけ遮音性能がアップしたということだ。そのため、以前は2階以上の住戸はカーペット敷きとしているマンションが一般的だったが、このごろはすべての階でフローリングが普通になっている。
ただ、遮音性能はスラブ厚だけでなく、梁や小梁で囲まれた面積(スラブ面積)にも左右される。スラブが厚くてもスラブ面積が広いと、太鼓のように音が振動して下の階の住戸に響きやすくなるのだ。一般的な工法の場合、スラブ厚が20cmならスラブ面積は25m2以下が望ましいだろう。25m2は15畳程度なので、リビングが15畳以上の場合はスラブを20cmより厚くするか、リビングの天井に小梁を入れる必要がある。どちらも天井高が犠牲になり、開放感という意味ではやや不利だ。
なお、最近の工法としてスラブに空洞を設けて25cm以上の厚さにするボイドスラブ工法というものがある。空洞を設けない一般的な工法に比べて遮音性能が高まり、広くて小梁の出っ張らない空間をつくりやすい。ただし、スラブ厚が厚い分、天井高を確保するには階高を高くしなければならず、コストアップ要因となる。
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