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高級マンション選びの落とし穴~資産価値偏重は要注意

株高で高級マンションが活況だ。とくに、昨年まで動きの鈍かった億ションが堅調である。好立地を選べば、資産価値は安泰か? アベノミクスがもたらす落とし穴を探ってみた。

坂根 康裕

執筆者:坂根 康裕

高級マンションガイド


株式相場、相続税対策と「高級マンション」の関係

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株式市場と高級マンション市場の連動は、「代官山アドレス」第2期販売(2000年はじめ)から顕著に見られた現象である。ITバブルやミニ(ファンド)バブルでは、1億円以上のいわゆる「億ション」が良く売れた。上下動を繰り返す株式相場で儲けた資産を安定した不動産に替えておくという発想だ。

時を同じくして急増したタワーマンションが、「相続税対策として有効」との考え方も背景にあるといわれている。タワーの評価ポイントである「眺望の価値」は課税の対象にならない。基準となる路線価(土地の持ち分)と実勢価格の乖離が一戸建てよりも大きいことが魅力。人気物件を買っておけば、値下がりリスクも少ない上に、最低限の「利用価値」は担保できる。家は誰にとっても必要なものだから。住まなければ、貸して家賃収入を得ればいい。

こうしたポートフォリオ(資産構成)のセオリーは、たとえ自分は無関係でも知っておくのが望ましい。なぜなら、投資的意味合いの購入者が多いマンションは、維持管理の上で注意することが多いから。

「コミュニティの質」が資産性をも左右する

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長谷工アーベストが震災後半年たった時点で調査を行った「首都圏居住者の『震災後の意識変化』」によれば、"住民同士の繋がり・コミュニティ"について、9割以上が「大切だと思う」と回答したのに対し、ご近所付き合いが実現できているかは、5割以上が「充分に出来ていない」(「あまりできていないと思う」と「全くできていないと思う」)と回答。

最近分譲される大型マンションでも、竣工当初1~2年はコンサルティング会社主導のイベントや各種サークルのプログラムが好評だという。つまり、マンション居住者の「コミュニティへの参加意識」は年々高まっていることがわかる。

経年の味わいが魅力を増す「ヴィンテージマンション」も、立地や建物のグレードだけが条件ではなく、住民の高い管理意識が不可欠。合意の上にルールを設け、皆でそれを運用する。必要に迫られた場合は改善を図る。この繰り返しが住まいの価値を高めていくのだ。高級マンションも例外ではない。コミュニティが鍵を握っている。

オーナーが住んでこそ…

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さて、ここまで来ればおよそ察しはつくだろう。にわかに得た収益で資産の付け替えとして買われたマンション。まあ、動機はさておき、実際に住まわれるかどうかがポイントだ。

セカンドハウスとして使われる住戸。年に数回しか、灯りが点かない部屋があるという。竣工した途端に賃貸の募集がはじまる棟もいまや珍しくない。管理組合で物事を決めにくい物件は、オーナーが住んでいないケースに多いそうだ。連絡を取ることさえひと苦労だとか。

所有権の物件がどう使われようが、他人の知ったことではない。ただ、あなたがマイホームとして買おうとしていて、なおかつ資産性の維持しやすいマンションが欲しいと考えているのであれば、できるだけ多くのオーナーが自分自身で住みたいと思う物件を選ぶことをお勧めする。

他人の購入目的は知ることができるか? 売主や販売会社は守秘義務上、オープンにできることは限られる。ただ、すべての契約者を知っているわけだから、投資目的が多いかどうか(逆に自宅として使うかどうかわからない人がどれくらいいそうか)、法人購入はどれくらいあるのかなどニュアンスを引き出すことはできるかもしれない。ヒアリング力も買い手に必要なスキルだと割り切って問うてみよう。

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