厳しくも美しい極北の大自然を満喫するなら、ラップランド地方へ
ところどころ万年雪を被る極北の大地は、その荒涼とした光景とスケール感に圧倒される。珍しい種の動植物にも次々に出会える
夏至前後に1日でも太陽がまったく地平線下に沈まない「白夜」が訪れる、北緯66度33分以北の地域のことを一般的に北極圏と言います。とりわけ今日の北欧諸国では、この北極圏一帯のエリアをラップランド(フィンランド語でLappi)と呼んでいますが、もともとラップランドというのは、北極圏の中でもサーミ人という少数民族たちが伝統的に住んでいた地域のことを指す言葉です。フィンランドのラップランド地方の玄関口となる街が、一年中サンタクロースに出会える村があることでも知られるロヴァニエミ。このロヴァニエミ以北には鉄道網がほとんど存在しないため、移動には飛行機か長距離バスなどを利用することになります。
ラップランド地方の移動中には、放し飼いにされているトナカイの群れに出会うこともしばしば
ラップランド地方には、いわゆる人の手で作られた観光名所はあまり多くありませんが、何といっても極北の雄大な自然世界そのものが特別な観光資源。夏場は、広大な野山をハイキングしたりコテージを借りて悠々自適な自然生活を満喫したり。冬の楽しみはやっぱりオーロラウォッチング。日照時間は限られていますが、日中は犬ぞりやスキーなどのウィンターアクティビティも満載です。また、極北の大地ならではの絶景を写真に収めたり、サーミ民族の歴史文化やラップランド地方の伝統工芸などに触れられる施設を訪ねてまわるのも楽しいはず。
さらにラップランド地方は、自然の恵みを生かしたおいしい郷土料理が多いのも魅力のひとつ。特にトナカイは新鮮であるほど美味とされるので、ぜひ本場ラップランドでは、シンプルなのに臭みがなく旨味たっぷりのステーキ肉などを味わってみてください。
ラップランド地方の代表的な都市とその見どころ
西の最北端の村キルピスヤルヴィの名物山、サーナ。フィンランドの国土は基本的に平らでいわゆる山がないものの、ラップランドにだけはトゥントゥリと呼ばれる1000m級のなだらかな山が見られる
■ロヴァニエミ(Rovaniemi)
サンタクロース村敷地内には、ちょうど北極圏の境界であるアルクティック・ラインが直下を貫いており、この線をまたいで記念撮影する人も
ラップランド地方南端の玄関口となる都市。日本語も堪能な本物のサンタさんと面会できる
サンタクロース村があることで有名。おもな観光名所は
ロヴァニエミの6大スポットを参照ください。
■ソダンキュラ(Sodankylä)
ロヴァニエミから90キロほど北上した小さな美しい街で、毎年6月には、かのアキ・カウリスマキ監督が創設したことで国際的に注目される
ミッドナイト・サン・フィルム・フェスティバルが開催され、白夜の空の下、夜通しで盛り上がります。
■レヴィ(Levi)
凍結して雪が降り積もった広大なイナリ湖の上では本物の静寂を体験することができる
国際的なウィンターリゾート地として有名で、国内最長級のダウンヒルもあります。また、オーロラ観測にぴったりな暗所ポイントも周囲に多く、冬場は昼も夜もたくさんの人が、寒さなんのそのでアウトドアを楽しむ姿が見られます。
■イナリ(Inari)
東ラップランドの北端に近い街で、広大なイナリ湖の湖上や周辺は、冬にオーロラを眺めるにもぴったりの場所。ラップランドの自然やサーミ民族の文化などを詳しく紹介するミュージアム、
シーダも興味深いでしょう。
■キルピスヤルヴィ(Kilpisjärvi)
湖上にある3国の国境点上には、不思議な形のモニュメントが設置されていて、桟橋をわたってぐるりと一周してみることが可能
西ラップランド北端の小さな村。村の端には、フィンランド・スウェーデン・ノルウェー3国の国境が一点に接する世界的にも珍しい国境点が存在し、夏には
サーナという1000メートルを超える名物山の登山も人気。詳しい情報は
フィンランド最北端のリゾート、キルピスヤルヴィを参照ください。