企業のIT活用/システム運用管理

ミスによるシステムトラブルを防ぐ5つのポイント(2ページ目)

あいかわらずシステムトラブルが続いていますがシステムトラブルの30%はうっかりミスと言われています。システムの複雑さが増しているなか現場でのミスが起きやすくなっています。トラブルを防ぐポイントをみていきましょう。

水谷 哲也

執筆者:水谷 哲也

企業のIT活用ガイド

ポイント3 ムリ、ムダ、ムラをなくす

担当者はプレッシャーのなかで仕事をしているのをお忘れなく

担当者はプレッシャーのなかで仕事をしているのをお忘れなく

多くの会社は会計や給与計算からシステム導入をスタート。販売管理、人事労務、営業支援、生産管理とシステムをふやしてきました。システムが肥大化したので面倒をみる社員をふやすべきですがコストとなるので、今いるメンバーでなんとかしろという話になりがち。

いままでは社内だけのシステムでしたが川下から川上まで販売情報を共有し、製品供給を円滑にしようというSCM(サプライチェーンマネジメント)が導入され、外部とのシステム連携がすすんでいます。いったんトラブルが発生すると自社内だけでなく他社にまで影響をあたえてしまいます。

ミスをなくす基本はムリ、ムダ、ムラをなくすこと。システムが肥大化し、業務量がふえたなら残業などで対応するしかなく、どうしてもムリがでてきます。また時間を短縮するためショートカットが行われるようになります。ムダな作業であればよいのですが必要な作業でショートカットが行われるとトラブルの原因になります。

ネットの普及にともない24時間稼働があたりまえになり、システム変更できる時間がどんどん短くなっています。担当者はミスするとカバーする時間がなくなるため、よけいにプレッシャーがかかり仕事にムラが出てしまいます。

担当者はプレッシャーのなかで仕事をしていますが、他部門の人にとってはシステムは動いてあたりまえという感覚。経営陣はムリ、ムダ、ムラがないか定期的にチェックし、予算や人員配置を考えなければなりません。定常的にシステム稼働を続けている社員をねぎらいモチベーションアップすることを忘れてはいけません。

ポイント4 教育にお金をかける

お金をかけてプロジェクトマネージャーを育成する

お金をかけてプロジェクトマネージャーを育成する

一人前の技術者になるために覚えることが本当に増えました。昔の技術者はCOBOL言語と基幹系システム(汎用機)を勉強したあと、ITの発展とともにスキルを一つずつ身につければよかったのですが、今ではサーバーやウェブ系など覚えることがたくさん。Java、HTML5、データベース、仮想化技術、クラウドなどなど。教育には時間もコストもかかりますが人材を育てないとITベンダーとまともに話ができる人が育ちません。

システム構築時にはプロジェクトを管理し遂行していくプロジェクトマネジャーが必要になりますが、ほとんどの企業では社内にいません。必然的にITベンダー(受注者側)にプロジェクトマネジャーを依頼することになります。プロジェクトマネージャーといってもピンキリ。数多くの修羅場を経験したプロジェクトマネージャーから、はじめてプロジェクトマネージャーになった人まで様々です。ITベンダー側にプロジェクトマネージャーを依存せざるをえなく、経験豊富なプロジェクトマネージャーがきてくれたらラッキーという属人的要素にプロジェクトが左右されてしまいます。

お金はかかりますが社内でシステム経験をつませ、ITベンダーと話ができプロジェクトをまかせられるプロジェクトマネージャーを育成していきます。

プロジェクト・マネジメントの極意
プロジェクト・トラブルの原因の多くは人間関係に起因。プロジェクト・マネージャーは正確な進捗状況や問題を把握するためにも、メンバーが自由に発言できるよう間違いやミスを容認する雰囲気を開発チームに作る必要があります。また、メンバーの性格をみすえた適切なプロジェクト・マネージメントを行っていかなければなりません。
 

ポイント5 本当のCIOを社内におく

社内にCIO(情報システム担当の役員)を設置します。名ばかりのCIOではなく本当のCIOです。トラブルになった時に全体を俯瞰(ふかん)し、トラブルがどこまで影響があり、会社としてどう対処すればよいか判断できる人材です。トラブル時には社長から全権委任を受けて素早く対応をします。

また外部のITベンダーを戦略的パートナーとし、日進月歩のIT業界で最新システムを導入して企業経営に活かしていくことを企画、実現できる人物です。下請法などコンプラ違反にならないよう適切な指示を行うことができ、ムリ、ムダ、ムラのない仕組みを考え、実行できる人材です。

社内に人材がいなければ外部からスカウトして社内の業務を覚えてもらうことを検討しましょう。
カード会社から個人情報漏えいの第一報
もし会社にカード会社から個人情報漏えいの可能性があると第一報が入ったら、どう対応しますか。まず社長による陣頭指揮が必要となります。

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