資産家や芸能人が家族で海外に引っ越しをすることが、ときどきニュースや雑誌で取り上げられます。最近だと、オリエンタルラジオの中田敦彦さん家族がシンガポールに移住したことが話題になりましたね。子どもの教育を考えて海外に移住することを「教育移住」と言います。
 
経済面、仕事面で折り合いがつくのであれば、教育移住を検討してみるのもよいかもしれません。

経済面、仕事面で折り合いがつくのであれば、教育移住を検討してみるのもよいかもしれません。


教育移住を選択する決め手となるいちばんの理由は、わが子をバイリンガルな国際人にしたい、という親の期待からでしょう。海外移住には英語習得以外にもメリットが多くあります。ここでは、教育移住の英語以外のメリットとデメリットについてお伝えします。
 

教育移住の5つのメリット

1. 国際視野が広くなる 
日本にしか住んだことがないと、日本を客観視することはできません。移住することで、現地の生活が日常になります。そうしてはじめて、日本ならではの良さ、残念さを感じ取れるようになります。
子ども時代を海外で過ごした人には、ある共通点があります。日本に縛られない広い視野を持っていることです。

2. 各国に友人ができる
インターナショナルスクール(以下、インター)にはさまざまな国の子どもが通っています。いくつもの島を個人所有している超富裕層、王族や貴族など、日本では接点がない家庭の子女と机を並べて勉強することになることもあります。
欧米の上流階級の家庭では、 将来のビジネスに生かすための人脈を得るためにインターに通わせることが多いです。親の転勤に伴う学習環境を提供するというのがインターの設立目的のため、出入りが多く、1年で3分の1の生徒が入れ替わることも珍しくありません。それだけ多くの国の多くの人と友達になれる機会があるのです。

3. 得意なことを伸ばせる
日本の教育では、苦手分野を克服する指導が中心となっています。欧米では得意な分野を見つけ、伸ばすように支援することを重視します。学習内容の飲み込みが早い生徒は「飛び級」があるのは有名ですよね。インターでは、テストのための勉強を奨励されません。伸び伸びと自分の得意分野に打ち込めます。

4. うまく自己主張ができるように訓練される 
協調性の教育優先される日本では、自己主張が疎んじられる傾向があります。一方、欧米式教育は独自性が重視されます。他人との違いを認め、うまく主張することができるように、幼稚園(プリスクール・キンダーガーテン)から徹底的にトレーニングされます。将来、ビジネスシーンでは特に必要な、「自分の考えを伝える力」が備わります。

5. 帰国枠で日本の学校を受験できる
帰国のタイミングが受験に合えば、一般受験よりも有利な帰国枠で受験が可能です。帰国枠受験を採用する学校は限られますが、インター生は英語面接と英語エッセイで受けられるところが多く、競争率が一般入試よりも有利です。帰国のタイミングが入試に合わないときは、インター生用の編入試験を行ってくれる学校もあります。

その他、現地ならではの文化や風習、宗教を肌で感じられることで、価値観を広げられる機会も多いです。ただし、日本人が日本を出て外国で暮らすとなると、リスクも覚悟する必要があります。
 

教育移住の5つのデメリット

1. 日本人の価値観とのギャップが大きくなる
日本人の子どもが欧米式の教育を受けると、日本の教育を受けてきた親とは価値観のギャップが大きい人間に育ちます。わが子なのに価値観が違いすぎることを嘆く親も少なくありません。
インターに通う子どもはやがて、日本語よりも英語のコミュニケーションの方が楽になります。日本語でのコミュニケーションを億劫がるようになるのです。なかには、英語が堪能な母や父、片方の親としかあまり話さなくなる、なんていうケースもよく聞きます。

2. 日本の学習内容に疎くなる
私が接したインターのハイスクール生はそろって、日本地図から福島県、福井県、福岡県のおおよその場所も指し示すことができませんでした。違いがわからないのです。日本の小学生でも知っている歴史上の有名人物や日本各地の有名な特産品などもほとんど知りません。「日本は小さい頃に行ったきりで、たまにテレビに出てきたときに観るくらいでよく知らない」と言うインター生も少なくありません。
算数・数学はたいてい日本の学校の方が1~2年進んでいます。計算も計算機の使用が認められているところが多く、計算の反復練習を推奨する日本の教育方法との違いがあります。インターを卒業する前に帰国した場合、日本の学習進度に追いつくのに無理が生じます。

3. 日本語が苦手になる
バイリンガルは、母国語の言語能力があってこそ、真価を発揮します。母国語の習得がおぼつかないと、第二外国語の習得も伸び悩みます。日本語よりも英語が得意になり、日本人としてのアイデンティティに悩むケースもあります。
英語が流暢になっても、英語圏のネイティブには及びません。国や地域によっては人種差別に合い、劣等感を抱く可能性もあるということを知っておいた方がいいでしょう。欧米社会だけでなく日本の社会にも居場所がないような感覚になるという声もよく上がっています。

4. 部活でひとつのスポーツに専念できない
インターのスポーツ活動では1年を3シーズンに分け、シーズンごとに別のスポーツをする「シーズンスポーツ」となっています。練習も、日本の部活のように朝連から始まり、暗くなるまでとことん練習することはありません。1週間のうち2~3日、2時間程度で終了。先輩との厳しい上下関係もなく、比較的穏やかな雰囲気の中で練習が行われます。野球やサッカー、バスケやバレーボールが好きで、夢中で打ち込みたいという子どもにはっきりいって物足りません。逆にスポーツは楽しめればそれでいい、という子どもにはぴったりですね。

5. 高額な学費
インターは日本の私立にあたり、学費が高額です。温暖な気候に治安が良いということで注目されているマレーシアへの教育移住は、欧米はもちろん、隣国のシンガポールよりも割安とはいえ、年間百数十万円ほどかかります。イギリス、キャサリン妃の母校で知られる、人気の高いマルボロカレッジのマレーシア分校の年間学費は小学校約150万、中学校約200万円。卒業まで払い切れるか、綿密にスケジュールをたてましょう。

さて、いかがでしたか?

2021年時点で、海外の日本人の小・中学生は約10万人。15年前の約5万人から倍増しています。教育移住が選択肢のひとつとなる時代になっています。経済面、仕事面で折り合いがつくのであれば、教育移住を検討してみるのもよいかもしれません。



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。