周囲のストリートにも影響力を持つ、クマ公園のシンボル像
神聖なる動物クマを表すKarhu(カルフ)という言葉を口にすることは避けられてきたため、作品の題目にも隠語が使われている
公園周辺の路地には、このクマをモチーフとした看板やロゴがいくつか見つかるので探してみて
今日では、クマはフィンランド語でKarhu(カルフ)。けれど歴史的にクマは神格化された特別な動物であったことから、昔はカルフという言葉を口に出すことは直接的すぎるとして厭われていました。代わって、婉曲的にクマを連想させる隠語がフィンランド全土に数多く伝わっており、そのひとつがメシカンメン(「花蜜のついた手の平」という意味)なのです。このように特別な存在として崇められていたクマは、今も昔も芸術作品やモニュメントのモチーフになる機会がとても多く、例えば国立博物館の入口でも、大きなクマの石像が出迎えてくれます。
ちなみにこの像の作者は、ユッシ・マントュネン(Jussi Mäntynen/1886-1978)という彫刻家。彼は幼少期からとりわけ自然世界に強く関心をいだいており、ヘルシンキ大学の生物博物館で働いていたこともあります。そのため、作品のテーマになるのももっぱら自然界の生きものばかり。このクマは、1931年に完成したマントュネンの代表作のひとつです。
■設置場所:カッリオ地区のクマ公園(Karhupuisto)内
■アクセス:トラム1,3B,6,7B,9「Karhupuisto」下車すぐ
老舗チョコレートメーカーの本店前ではばたく、漆黒のオンドリ
ファッツェルカフェに立ち寄った際には、ぜひ店頭に立つ100周年を記念して作られたモニュメントにも注目してみて!
モニュメントの土台には、ファッツェル社の創立者であるカール・ファッツェルの肖像も刻まれている
この抽象的なモニュメントをデザインしたのは、ビョルン・ヴェクストローム(Björn Weckström/1935−)というアクセサリーデザイナーとしても知られる彫刻家。作品のモチーフはオンドリだけでなく、創業者カールの趣味でもあった狩猟のターゲット、ヘラジカの脊椎骨の輪郭からも着想を得ているとビョルン自身が後で語っています。
■設置場所:Fazerカフェ本店前(店舗ウェブサイトはこちら)
■アクセス:ヘルシンキ中央駅から南東方向に徒歩約10分
最終ページでは、近年お披露目されたばかりのモダンなインスタレーションアート2点をご紹介!