フィンランド/ヘルシンキの観光・お土産

ヘルシンキの記念碑・彫刻アート探訪〈シンボル編〉

ヘルシンキ市街を歩いていると、至るところで気になる彫刻作品やモニュメントが設置されているのに目がいくのではと思います。屋外作品が進んで作られるようになったのは1800年代後半からで、現在では市立美術館が把握するだけでも400作品を超えているといいます。前回の〈偉人編〉に続き今回は、待ち合わせ場所としてもよく使われる〈シンボル編〉。街のランドマーク的存在のアート作品を一挙紹介します!

こばやし あやな

執筆者:こばやし あやな

フィンランドガイド

ヘルシンキの玄関口で人々を出迎え見送る、4人の石像ルーキー

石男

街の玄関口となる駅舎でこの石男たちに出迎えられると、ヘルシンキに着いたことを実感してとほっとするという市民も

誰もが旅のあいだに行き来するヘルシンキ中央駅正面口の壁面をはっと見上げると、大きなランプを軽々と抱えた、やや強面の4人の巨人と目があって仰天するはず! 柱のように駅舎と一体化したこの石像たちの正式名称は、地元の人にもあまり知られていませんがLyhdynkantajat(ルュフドュンカンタヤット)といいます。けれど一般的には、見た目どおりKivimiehet(キヴィミエヘット=石男たち)の愛称で親しまれているヘルシンキ中央駅のシンボルです。

現在のヘルシンキ中央駅舎は、20世紀はじめにエリエル・サーリネンという当時の人気建築家によって設計されました。けれど、駅舎の壁と同じ花崗岩で一続きに作られたかのように見えるこの石男たちは、『カレヴァラ』の編纂者リョンロットの記念碑の作者と同じ彫刻家、エミル・ヴィクストロム(Emil Wikström/1864-1942)が手がけ、1914年に完成したものです。

当時はアール・ヌーヴォ−建築の黄金期だったので、駅舎にも何かしらインパクトのある装飾が必要とされていました。サーリネンは、当初ここに熊のモチーフを加えたいと考えていたようですが、結果的に、花型芸術家として活躍していたヴィクストロムのデザインした4人の石男を採択し、制作を委ねたといいます。

イメージキャラクター

4人の石男たちは、いまや国鉄VRのイメージキャラクターとして大人気

この石男のモデルになっているのは、実はヴィクストロムがアトリエを構えていたサークスマキ(Sääksmäki)という小さな町の同胞であった、無名の小作人ヤルマリ・レへティネン氏。ヴィクストロムは他にも、親交の深かったレへティネン一族をモデルにした作品を残しています。今日、おそらくフィンランド国内でそのインパクトある姿を知らない人はいないであろう石男たちは、街の玄関口のランドマークとしてだけでなく、国鉄VRのイメージキャラクターとしても大活躍。たくましいけどもどこか愛らしい風貌で、近年はCMにポスターにと引っ張りだこなのですよ。

■設置場所:ヘルシンキ中央駅舎正面口
■アクセス:ヘルシンキ中央駅南口出てすぐ


次ページでは、街のランドマークとしてお馴染みの2つの銅像作品をご紹介!
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