セクシュアルマイノリティ・同性愛/LGBT

世間のみなさんに読んでほしい「LGBT」入門(2ページ目)

最近メディアでもLGBTという言葉を聞く機会が増えてきたと思います。が、ストレートの方たちの中には何のことかわからないという方も多いはず。なぜ性的少数者じゃなくLGBTと言われるようになったのか、も含めて、LGBTのキホンについてお伝えいたします。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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性のキホン

ゲイという[経験]増補版

ゲイという[経験]増補版/伏見憲明/ポット出版
セクシュアリティ論のエポックとなった『プライベート・ゲイ・ライフ』をまるごと含み、現代人の性愛のバイブルとも言うべきスゴいボリュームの一冊です。

人は生まれながらに男性か女性であり、男性は女性のことを好きになり、女性は男性のことを好きになるのが当たり前だと思っている方、とても多いと思います。それはたまたま多数ではあるかもしれませんが、決して「当たり前」でも「普通」でもありません。なぜなら、男性でも女性でもあるような身体的特徴をもって生まれてくる人もいるし、自身のことを男性でも女性でもないと感じている人もいるし、同性を好きになる人もたくさんいるからです。

昔はそういうことがあまり認知されていませんでしたが、1991年、伏見憲明さんが著書『プライベート・ゲイライフ』で初めて、性についての科学的な知見をわかりやすく世間に提示しました。性は主に身体上の性別、性自認、性的指向の3つの要素から成り、それらが複雑・多様に組み合わされているという、今ではジェンダー論の授業などでも展開されている考え方です。

それでは、性の三要素ということについて、もう少しくわしくお伝えします。
○生物学的性(sex)
人は生まれたとき、お医者さんによって男性か女性かに区別されます(おちんちんがついていれば男の子、という具合に)。が、ごくまれに、外性器が男性とも女性ともつかない形をしていたり、一見女性の身体に見えるけれども体内に精巣があったり、染色体がXXYである人などがいて、こうした人たちは性分化疾患(欧米ではインターセックス)と呼ばれます。(詳しくは、以前書いた「男でも女でもない性」という記事をご覧ください)

○性自認(gender identity)
自身の性(gender、身体上の性別だけでなく社会的・文化的意味づけを含む性)を男性とみなすか女性とみなすか(あるいはどちらでもないか)、ということを性自認と言います。多くの人は身体上の性別と性自認が一致していますが、そうでない人をトランスジェンダーと言います。(この後、もう少しくわしくお伝えします)

○性的指向(sexual orientation)
よく「嗜好」と間違えられますが(性的嗜好と言うと、巨乳好きとかボンデージフェチとかそういう意味になります)、性的「指向」です。生まれつき、自分の意志とは無関係に方向づけられる性愛の対象(魅かれる性別)が男性なのか女性なのか両方なのか、ということです。多くの人は性的指向が異性に向きますが、人口の数%~10%くらいの人は同性または両性に向くというデータがあります。同性を愛する男性はゲイ、同性を愛する女性はレズビアン、両性を愛する人はバイセクシュアルと呼ばれます。

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