外壁を残す「曳き家工法」
現地に残っていた建物は「旧大阪農工銀行」。原設計辰野金吾(1918年)、國枝博がファサードを改修(1928年)。事業主であるオリックス不動産は、買収当時、解体して建物を建築する、つまり一般的な分譲マンションプロジェクトを想定していた。しかし、この界隈で古くから事業を営んできた同社関係者は、あらためて立地の魅力と歴史的価値のある建物に着目。「壊して建てる」繰り返しに待ったをかける。熟考した末の回答は、既存の外壁を一部残し、新しく建てる躯体と合体させるという前代未聞の決断であった。
新築工事の間、外壁は敷地の脇で待機。毎日、数センチ移動させる地道な作業を伴うこの施工は、「曳き家工法」(鹿島建設)と呼ばれるもの。経年で痛んだ箇所には補修を施し、名建築は最新技術を備えた建物となって甦る。おそらく、分譲マンション初だろう。
「グランサンクタス淀屋橋」は2013年7月竣工(予定)
竣工は、今年7月。9月下旬には入居可能(予定)となる。希代の建築家たちの名作は、いかなる姿で現れるのか。関西在住者はもとより、それ以外の方々も大阪へ出向かれる際はぜひお立ち寄りいただきたい現場である。交通アクセスは、市営地下鉄御堂筋線「淀屋橋」駅から徒歩3分、同堺筋線「北浜」駅徒歩5分など。総戸数は住戸数で60戸。RC造13階建てである。
販売状況は、2012年5月から集客をはじめ約500組が来場、約半年で完売に至ったが、年明けにキャンセルが1件発生したため、現在1戸販売中。専有面積は、56.09~78.83平米。間取りは、1LDK+N+ロフト~2LDK+ロフト。購入者は二人家族が多く、個性的なファサードの復元と立地の利便性が高く評価されたもよう。価格は坪単価にして@225万円。当初の通常開発プランより上がってしまったわけが、付加価値はそれ以上だったということになろうか。
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