大切なのは相手の立場に立って話を聞くこと

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安易なアドバイスより、しっかり話を聞く方が、相手を楽にできる

「り・は・あ・さ・る」の5ステップのように、相談に乗る側は、まず相手のリスクを評価し、気持ちに寄り添ってしっかり話を聞くことが大切です。その上で、問題解決につながる専門機関(医療機関、各種相談窓口など)への橋渡しをしたり、セルフヘルプの方法を勧めてあげたりすることも大切です。

「死にたい」と思う人は、悩み過ぎたことによって冷静な判断力が失われ、「解決には死ぬしかない」と思い込んでいることが多いものです。しかし、誰かがその人の話にしっかり耳を傾けて話を聞くことで、気持ちが楽になり、死ぬほどのつらい思いを解放させることができるのです。

「こうすればよかったのに」「死ぬなんて考えてはダメ」という自分の価値観にもとづいたアドバイスやお説教は、相手をますます追いつめてしまうので、NGです。それより、じっくり最後まで、相手の立場に立って話を聞くこと。そして、最後に「あなたを支えたい」「生きていてほしい」というメッセージを伝える方が、相手の心に響きます。

信頼できる相談窓口を調べて確実につなぐ

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ただ相談窓口の情報を教えるだけでなく、橋渡しをすることが大切

また、悩んでいる人を救うためには、医療機関をはじめ、各種の専門的な相談窓口の情報を知っておく必要があります。

借金や生活苦などのお金の問題、DVやパワハラ、虐待などの人権の問題、家庭や育児の問題、就職、仕事上の悩みなど、その人の状況に合った、安心できる相談窓口に確実につなぐことが大切です。そのためには、ただ連絡先を教えるだけでなく、そばにいるときに予約をとったり、初回の相談に同行するなどの、きめ細かい心配りも大切になります。

ただし、絶対に怪しげな窓口につながないように気をつけてください。残念なことに、追いつめられている人の心理を利用して、勧誘やセールスを行う団体やビジネスなども少なくありません。精神的に追いつめられた人は、強引な扇動に流されやすい状態にあります。よく調べずに、安易に怪しげな相談窓口の情報を伝えてしまうと、問題が解決するどころか、さらに複雑な問題を抱え込んでしまうこともあります。伝える情報は正しく、安心できるものにする必要があります。

いちばん確かなのは、行政や公的機関が公開している相談窓口の情報です。地域の保健センターや保健所、精神保健福祉センター、市区町村や社会福祉協議会などの窓口に概要を話して、相談窓口を案内してもらうといいでしょう。

私たち一人ひとりが「ゲートキーパー」

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誰でも、気持ち一つでゲートキーパーになれる

そして、支える側の人も一人きりでその問題を抱えないことです。本人の了解をとって(緊急の場合を除く)、その人の家族や友人、所属先の上司など、信頼できる人に事情を伝え、協力を仰ぐこと。また、支える側本人も、職場の精神保健スタッフや、保健センター、保健所、精神保健福祉センターなどに相談しながら、アドバイスを仰いでいくと安心できます。

ゲートキーパーは、誰もが担える役割です。「死にたい」と思う人は、抱えている問題さえ解決できれば「本当は生きたい」と思っています。ぜひ、その切実な気持ちに寄り添い、適切な相談窓口につなぎ、悩んでいる人を自殺の危機から守ってあげてください。
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