従来の中古住宅の売買では、消費者が建物の性能を自分で調べる必要があります。また、不動産会社が周辺の取引事例を参考に算出した査定価格を基準に、売買価格の妥当性を自分で判断することになります。そこで不安解消のために、最近では購入希望者が、ホームインスペクターにインスペクション(建物診断)を依頼するケースが増えてきています。ただし、プロのレポートによって建物の状態を把握することはできますが、売買価格は自分で判断しなければなりません。

現地調査による査定書とそれに基づく査定価格が公開される

住まいのバトン

「住まいのバトン」TOP画面

新たに公開された「住まいのバトン」では、不動産鑑定士と建築士が建物などの現地調査をして、精度の高い査定価格を提示する点が大きな特徴です。提携先の鑑定機関である東京カンテイが、中立的な立場で豊富なデータベースと現地調査に基づいた詳しい査定書を提出し、その内容を売り主だけでなく、買い主にも公開する仕組みになっています。

第二の特徴は、プロの建物調査の結果を受けて、サイト運営者の大和ホームズオンラインのリフォーム部門が、参考となるリフォームプランと費用を提示している点です。実際にリフォームをする場合は、買い主が自由にリフォーム事業者を選んでよいということですが、物件選びの段階で物件価格とリフォーム費用で総額いくらになるのかが把握できるというのは、大きな判断材料になるでしょう。

査定書

現地調査による不動産鑑定士作成の査定書

第三の特徴は、プロの査定価格が明示されているため、従来のような売り主と買い主間での価格交渉が不要だと考え、サイト上の「オークション」形式で取引を成立させる点です。最低売却価格(売り主の希望価格)と査定書に基づく査定価格が明示され、その価格を参考に購入を希望する買い主それぞれが購入希望価格を入札します。その結果、最高価格を付けた買い主が購入交渉に入るという「オープントレード方式」を採用しています。ただし、住宅ローンを利用して購入しようとする買い主は、入札の前に提携金融機関によるローン審査に通る必要があります。


最大の課題は、査定書の費用負担とプライバシー

さて、画期的な仲介システムとなっていますが、反面課題も残ります。まずは、鑑定士や建築士に査定書を依頼する費用負担です。通常は、30万円程度が必要になるといいます。この大半を運営者が負担する(ネット活用による店舗や人件費の効率化により補填する)ことにしていますが、売り主も、その一部となる5万2,500円を負担しなければなりません(オープンキャンペーン中は無料)。個人で依頼するよりはかなり費用が抑えられるので、よい結果が出ればいいでしょうが、不具合が見つかって査定価格が低く出る可能性もあり、そのあたりの納得感を得られるかが課題になるでしょう。

また、従来の取り引きでは広告などに詳細な情報は掲載されません。したがって、不動産会社に問い合わせをしないと詳細が分からないという手法が取られています。しかし、新しい仲介システムでは、マンションの共用部や住戸室内の写真付きで情報が公開されることになります。売り主の希望によって、公開する情報に制限を設けることも可能ということですが、それでもかなりプライバシー情報が公開されることになるでしょう。その点を嫌う売り主には、ネックになると思われます。

こうした課題はあるものの、第三者のプロが現地調査をした査定書という評価を付けて、マンション情報を公開するという仕組みは、政府の動きに先んじるチャレンジャブルな仕組みとなります。当面は売り主の登録を促進し、3月に物件情報の公開およびオークションの実施を予定しているということですが、どこまですそ野が広がるか注目していきたいところです。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。