フィンランドの冬の気候
冬は湖上にできた天然のスケートリンクでホッケーやスケート、クロスカントリーなどを楽しむ人も多い。スキーウェアを外出時の日常着とする人も少なくない
冷え込む日に昇る朝日の両側に注目。巨大な虹の環が見えるハロ現象に出会えるかも
まず月間平均気温を見てみると、ヘルシンキ(フィンランド南部)およびソダンキュラ(ラップランド)のここ数年の12月の平均気温はそれぞれ、マイナス5~1度/マイナス14~10度前後(ただし12月の気候は一番年によってばらつきがあり、次年度の予測が難しい)。同じく1月の平均気温は、それぞれマイナス5~3度/マイナス14~12度くらいで、そこまで12月と変わらず。気温が最も落ち込む2月には、マイナス9~5度/マイナス19~13度前後が目安となります。
マイナス20度を切ると、窓ガラスには美しい氷の結晶が
雪はどのくらい降るの?
雪には十分慣れているので、首都機能や交通機関が麻痺することはまずない
ただしもちろん、時には急な雪嵐でものすごい積雪量を記録するときもありますし、いったん吹雪き始めると視界が遮られて危険な思いをすることがあるので、出歩く際に常に注意は必要です。ラップランドでの事前申込制ウィンターアクティビティも、気温が低かったり雪がひどい日はやむなく中止されることもありますので、ご容赦を。
湖上は冬のれっきとした交通要所。広い湖の場合、歩行者用やスケート用滑走路が整備される
極寒世界の体感レベルはどんな感じ?
どんなに凍てつく日でも、青空に太陽がのぞく日はほのかな暖かさを感じられる
寒い外の移動は、静かにいそいそと
また、慣れない低温の外気に長時間身をさらしていると、敏感な皮膚が痺れてうずいてくるほか、頭痛が起きたり、体力の消耗が激しくなるもの。屋外観光ばかりに没頭せず、こまめに室内にはいって休息をとり、身体を温めることが重要です。
知っておきたいのは、カメラ撮影などのために、寒い外気にさらし続けて凍傷を起こしかけた手足の指を、室内に入った途端に熱湯をかけて温めようとするのはNGであること!急激な温度変化で真っ赤に腫れ上がってしまい、返って長く痛みを伴います。室内に入った直後の、冷えきった指の解凍ケアは、まずは冷水にさらすのでも十分温かく感じるはず。そこから徐々に水温を上げて、ゆっくりと通常の感覚をとり戻していくようにしましょう。
フィンランドの冬の服装チェック
寒い冬と言えども、アウターが防寒性に優れたものであれば、さらに着込む必要はない。また足場が悪いうえ、靴底から地表の冷気が伝わりやすいので、靴底が頑丈で保温性のあるウィンターシューズがおすすめ
厳寒期と言えども、中南部の都市の街歩き程度であれば、そこまで気負った重装備をする必要はありません。大事なのは、羽毛のしっかり詰まったダウンジャケットやスキージャケット、お尻まで隠れるぶ厚めのウールコートなど、一番上に防寒性の高い頼れるアウターを羽織ること。アウターがしっかりしていれば、あとは内にたくさん着込んでも着込まなくても、実は体感的にはほとんど一緒というもの。下半身は、保温性のあるレギンスやタイツの上から綿のズボンやジーンズを履けば十分。現地の人はさらに、外の移動のときだけ防風性の高いナイロン生地のスポーツウェアズボンを履くことも多いです。
繰り返しになりますが、冬であっても「脱ぎ着重視の重ね着」コーディネートが大事。アウター以外にあまり着こみ過ぎると、室内で不快な思いをすることになるので注意です。また、金属製のアクセサリーは、キンキンに冷えて肌に不快感をもたらすので、冬の間はおすすめしません。
極寒のラップランドでも、適切なアウターや小物を選べばへっちゃら!
ラップランドでオーロラ観測をする場合などは、さらに防寒対策を強化する必要があります。アウターにはスキーウェアや登山服の着用が理想的。さらに帽子や手袋、靴下を何重にも重ねたり、眼の周りだけ空いた顔マスクを着用したりと、極力露出部を減らす努力をしましょう。カイロも短時間ながら効果を発揮しますが、実はフィンランド自体にはなぜかカイロというアイテムは普及していません……。
最後に、厳寒下では、カメラや携帯電話などの電子機器が影響を受けて、動作が鈍くなったり、バッテリーをあっという間に消耗したり、ひどい時には故障したり、といった異常を起こすケースも少なくありません。大事なものであれば、人体だけでなく機器の防寒対策もしっかりと。カメラ機器は、寒い屋外から室内に入る前に大きめのビニール袋に入れて密封しておくと、結露対策の効果があります。
防「暗」対策も忘れずに!
デザインも豊富なリフレクターは、冬のおみやげにもぴったり!
実際、リフレクターは冬のフィンランドのマストアイテムとして誰もが身につけて歩くのが暗黙のルールですし、ムーミンやマリメッコ柄などをあしらった、凝ったデザインのものもたくさん出回っているので、お土産として買って旅行中につけ始めるのも良いかもしれませんね。