フィンランドの気候・四季と服装アドバイス(2ページ目)

フィンランドの春の気候

フィンランドの春の訪れを見極めるのは、暖かい季節ばかりを想像してしまう日本人にとってはやや困難なこと。少なくとも3月いっぱいは、厳寒期の峠は超えているものの、まだまだ冬の延長といった気候が続きます。3月下旬の春分の日から6月下旬の夏至に向かって、日照時間は日に日に長くなり、日差しもきつくなりますが、気温は必ずしもすぐに暖かくなってゆくわけではありません。4月や5月に入ってもなお、寒の戻りで雪がちらつくことは珍しくないのです。

それでも4月に入ると、徐々に残雪や湖の氷が溶け、地面から新芽が顔を出し始めます。やがて5月半ばから後半にかけて、木々が若草色のスプレーを吹いたように一斉に芽吹き、野が遅咲きのタンポポや菜の花の黄色で埋め尽くされるようになると、ようやく本格的な春らしさを感じられるようになります。 ラップランド地方の春の訪れはさらに遅く、ヘルシンキに比べて数週間から1ヶ月ほど、植物の芽吹きや開花時期が遅れてやって来ます。

ヘルシンキ（フィンランド南部）およびソダンキュラ（ラップランド）のここ数年の3月の月間平均気温は、マイナス2～プラス1度／マイナス8～5度前後。同じく4月の平均気温は、それぞれプラス4～6度／マイナス2～プラス3度くらいで、5月は、プラス10～12度／プラス5～7度前後まで回復します。とはいえ、ヘルシンキでも朝夕の冷え込みはまだまだ厳しく、急に氷点下まで冷え込む日もあるので、注意が必要です。

お天気は、比較的降雨／降雪量が少なく、気持ちのよい晴れ間がのぞきやすい季節。ただし、突然のにわか雨に降られることも多いので、雨具を携帯しておいたほうが無難です。日照時間の拡張により、5月末にはヘルシンキでも22時ごろまでは十分明るい時間が続きます。

フィンランドの春の服装チェック

3月は、まだまだ日本の都心の真冬くらいの装備が必要。けれど何枚も着こむ必要はなく、外出用に羽毛の詰まったダウンジャケットや防寒コートが一着あれば、寒気は十分しのげます（それ以上の防寒対策のヒントは「フィンランドの冬の服装チェック」を参照ください）。

4～5月にかけてもまだ肌寒い日が多いので長袖は必須ですし、外を歩くときは、薄手のコートや、日によっては手袋や帽子、軽いマフラーがあったほうが無難。都心での小春日和くらいの装いをイメージしておけばよいでしょうか。もちろん、寒の戻りで急に冬日が訪れることもしばしばあるので、天気予報をチェックしつつ、トランクには念のためセーターなどをしのばせて置くのがベターです。

ただしフィンランドの室内温度は、独自のヒーティングシステムによって20度前後に保たれていることがほとんどなので、厚手の服や保温下着を最初から着込んでいると、室内で体温調節が効かず、返って体調を崩してしまうケースも。春先に限らず、フィンランドでの衣類調節の基本はズバリ「脱ぎ着重視の重ね着」。寒いと感じたらその都度羽織るものを増やしていく、というイメージで、室内でも室外でも快適に過ごせるようコントロールしてみてください。

また、気をつけたいのは足元。雪溶けの季節は地面がぬかるんでいたり、凍結していたりで、とても滑りやすく危険です。ごついアウトドアシューズを履くほどではないですが、靴底が滑りやすいものやヒールのある靴は避けたほうが無難です（ヒール靴は、季節を問わず石畳の多いヘルシンキ市街を歩くのには向きませんよ）。

さらに、気温は低くとも、この時期はすでに白夜シーズンへの移行期。日中の日差しは頭上から容赦なく降り注いでくるので、日焼け対策およびサングラスの着用を強くおすすめします。
※次ページでは、フィンランドの夏の気候と服装について解説！