チーズの王様「パルミジャーノ・レッジャーノ」。「パルメザン」との違いは?

イタリア北部のポー川とアペニン山脈の間で、ベネディクト修道院によって13世紀頃にはすでに生産されていたという記録が残る、「パルミジャーノ・レッジャーノ」。実は800年以上も前から今とほとんど変わらない方法で製造され、“チーズの王様”と讃えられています。
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パルミジャーノ・レッジャーノ。1個の重さは40キロほどもある。

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリア北部で手作りされている最高品質のチーズで、P.D.O.と呼ばれる原産地名称保護(Protected Designation of Origin)制度により、品質・製法・製造場所等が厳格に守られています。

ちなみに「パルメザン」という名前で親しまれている粉チーズもありますが、これは“パルミジャーノ・レッジャーノ風の粉チーズ”としてアメリカで商品化されたもの。本物の「パルミジャーノ・レッジャーノ」とは別物です。ここでは「パルメザン」ではなく、イタリアの伝統的なチーズ、「パルミジャーノ・レッジャーノ」についてご紹介しましょう。

 

パルミジャーノ・レッジャーノってどんなチーズ?

  • タイプ:ハードタイプ
  • 原産地:イタリアのパルマ、レッジョ-エミリア、モデナ、マントヴァのレノ川左岸、ボローニャのポー川右岸
  • 原料乳:牛乳(部分脱脂したもの)
  • 大きさ・形:直径35~45cm、高さ約18~24cm、重さ24kg以上(現在は40kg位の物が多い)
  • 熟成期間:最低12か月
  • 固形分中脂肪分:最低32%
  • 旬:1年中
  • P.D.O.(原産地名称保護)取得:1955年
水分が少なく、超硬質なパルミジャーノ・レッジャーノ。割ると、内部はもろもろしっとりとした質感で、やや黄色味を帯びています。熟成が長いチーズなので熟成中に中のアミノ酸が結晶化し、直径1~5mm程度の白い斑点となってあちらこちらに現れます。知らないと、この斑点はカビか何かだと思われそうですが、実は美味しさの証。噛んだ時の、結晶のしゃりっとした食感も心地よいアクセントです。

パルミジャーノ・レッジャーノは、おろして料理に使う事が多いかもしれませんが、塊を割ってそのままいただくのも格別です。また、香りがとても華やかなチーズなので、出来る限りおろしたて、切りたてを使う事をおすすめします。
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パルミジャーノ・レッジャーノの丸ごと1個のカッティングショーにて。大きなチーズを3本のナイフのみで割っていく。割れた瞬間、良い香りがパッと広がる。断面にはアミノ酸の結晶も見える。

なお、1kgのパルミジャーノ・レッジャーノを作るのに必要なミルクは16リットル!  ミルクの旨味と栄養が、ぎゅ~っと凝縮されたチーズです。

 

製法

パルミジャーノ・レッジャーノは、数世紀も昔から伝統的製法が受け継がれているチーズです。その品質は、酪農家・チーズ職人・熟成者の努力と協力により保たれています。それぞれの役割、及び製法についてご案内しましょう。

◆酪農家によるミルク作り
酪農家の仕事は、美味しくナチュラルなミルクを作る事。牛たちは、その土地の牧草、植物性の飼料のみを食べ、美味しいミルクを出します。飼料には、サイロ貯蔵されたものや発酵したものは禁止です。そして絞られたミルクはいかなる加工もされる事なく、1日2回の搾乳から2時間以内に、チーズ職人の元に届けられます。
乳牛

牛たちは、その土地の牧草をたっぷりと食べてミルクを出します

◆チーズ職人によるチーズ作り
酪農家から1日2回届けられたミルクは、職人たちの手によりチーズへと変化を遂げます。なお、チーズ作りは1日1回のみと定められています。

1.まず、夕方届いたミルクを容器に入れ、翌朝まで休ませます。するとミルクの上に乳脂肪分が浮いてくるので、これを取り除きます。(取り除いた乳脂肪は、バターに加工されます)
2.残った部分脱脂乳を大きな銅鍋に注ぎ、その日の朝に届いた新鮮な全乳と合わせます。 
3.銅鍋でミルクを熱して前日の乳清を加え、さらに天然の凝乳酵素も加えると、10分程でミルクが凝固します。
ミルクの加熱

ミルクを加熱し、凝乳酵素(レンネット)を加えます

4.凝固した牛乳(凝乳、カード)は、加熱されつつスピーノと呼ばれる道具で細かく砕かれ、水分が抜けて締まり、鍋の底に沈殿します。
カード

カードを細かく砕きます

5.沈殿したカードを布で濾し取り、型に入れて数日置くとチーズの形となります。この時、チーズ側面に“Parmigiano-Reggiano(パルミジャーノ・レッジャーノ)”のロゴも入れられます。
布で濾す

沈殿したカードを布で濾しとります

型入れ

型に入れて数日置きます

6.その後、塩水に漬けてチーズに加塩します。
加塩

塩水に漬けて加塩します

そして次は、熟成の工程へと進みます。

◆熟成者による熟成
ミルクからチーズの形に変化したフレッシュなパルミジャーノ・レッジャーノは、静かな熟成室で、ひっくり返されたりブラッシングされたりと手入れされつつ、木の板の上で最低1年間、長いもので3年以上も熟成されます。

その間に表面が乾いて固くなり、表皮が自然に出来上がると同時に旨味が凝縮され、パルミジャーノ・レッジャーノ独特の味わい、風味へと変化していきます。
熟成中…

熟成中のパルミジャーノ・レッジャーノ


◆専門家による品質チェック

12か月の熟成を経た時点で、若いパルミジャーノ・レッジャーノは、専門家から1つ1つ品質をチェックされます。

まずはハンマーで叩いて内層の状態を確認した後、細いスクリュー状の針を刺して中の生地を少量取り出し、香り、質感、味をチェック。検査をクリアし、パルミジャーノ・レッジャーノとしての品質を認められたものには焼印が押されます。
焼印

この焼印が、パルミジャーノ・レッジャーノとして認められた証

そして品質チェック時には、次の5つのランクに分けられます(イタリア国内でのランク分け)。なお、ラベルの色で分けられるようになったは2007年からです。

  1. パルミジャーノ・レッジャーノとしてふさわしくないもの:側面の"PARMIGIANO-REGGIANO"のロゴを削り取られ、その名前も名乗れなくなります。
  2. パルミジャーノのセカンドクラス:12か月以上の熟成には向かないもの。"フレッシュパルミジャーノ・レッジャーノ"としてすぐに販売されます。また、分かりやすいように、側面には何本ものラインが入れられます。
  3. 赤ラベル:18か月以上熟成。“Extra”または “Export”マークの焼印も押されます。
  4. 銀ラベル:22か月以上熟成。
  5. 金ラベル:30か月以上熟成。
  6. 赤・銀・金のラベル

    赤・銀・金のラベル

なお、日本に輸出されているのは、18か月以上熟成の高品質な物のみです。


熟成期間が長くなればなるほど、旨味成分は凝縮されて大きなアミノ酸の結晶となります。大きな白い斑点と、食べた時にシャリっとする食感は、質の良いパルミジャーノ・レッジャーノの証です。


品質の保護・管理

パルミジャーノ・レッジャーノは、原産地や製造方法、熟成方法が厳しく規定され、法律で品質管理されている由緒正しいチーズです。

◆パルミジャーノ・レッジャーノの商標を名乗るための主な条件
  • 定められた原産地で生産および加工されたもの
  • 厳格な生産方法に従って製造されたもの
  • 使用するミルクは、定められた方法で給餌された牛のもの
  • パルミジャーノ・レッジャーノ保護協会より、品質の証明及び合格マークの押印をされたもの
これらの事を厳格にチェックし、パルミジャーノ・レッジャーノという銘柄が正しく使用されるよう監視し、模造品から保護しています。


パルミジャーノ・レッジャーノの食べ方

万能選手のパルミジャーノ・レッジャーノ。いろいろな食べ方がありますが、特におすすめのものをいくつかご紹介しましょう。
  • いちじくやレーズン、プルーン等のドライフルーツやナッツと共に。
  • バルサミコ酢をかけて。
  • スープやサラダ、パスタやリゾットにおろしたてをかけて。料理の味と香りを引き立て、ぐっと美味しくなります。
  • フリッターの衣に卸したものを混ぜて。チーズのコクでより美味しくなります。
  • カルパッチョの上に薄く削ってのせて。
  • 塊をかち割って、辛口の白ワインや同郷の発泡性赤ワインのランブルスコ、 そしてフルボディの赤ワインと合わせてもとても美味。
  • かち割りのパルミジャーノ・レッジャーノに胡椒をふりかけ、ビールのおつまみに。
パルミジャーノundefinedレッジャーノundefined砕きたてundefinedかち割undefinedおつまみ

砕きたてのパルミジャーノ・レッジャーノをパーティーで。シンプルながら、最高に美味しいおつまみ。

なお、残った皮の部分ですが、こちらはスープや煮込み料理を作る時に一緒に鍋に入れましょう。チーズの旨味成分が溶け出して料理がより美味しく仕上がります。また、2cmくらいにカットしてレンジで加熱しても美味しいおつまみになります。ぜひお試しを!


パルミジャーノ・レッジャーノの保存方法

パルミジャーノ・レッジャーノは、水分が少なく固いチーズなので、長期保存に向いています。とは言っても、美味しい状態を保つためには、以下の方法がおすすめです。
  • ガラスや琺瑯、プラスチックの保存容器に入れて、またはラップで包んで4~8℃の冷蔵庫へ。
  • 適度な湿度を保ち、他の食べ物の匂いが付かないようにするのもポイント!
なお、冷凍はおすすめできません。ただし、おろして粉状にしたものなら冷凍できます。


2012年のイタリア地震の影響も乗り越えて

2012年5月20日にイタリア北部を襲ったマグニチュード6.0の地震。この地震でパルミジャーノ・レッジャーノの生産施設が多くの被害を受けました。熟成中のチーズが棚から落ちるなどして、なんと約30万個ものパルミジャーノがダメージを負う事に。それらは処分されたり破格で販売されたりしましたが、手間と時間をかけて大切に作られたパルミジャーノ・レッジャーノが一瞬にして商品としての価値を落としてしまったのは、本当に心が痛むことでした。

少しでも多くの購入が生産者さんの力になれたら、と思つつ購入していた時期もありましたが、それよりなにより抜群に美味しくて便利に使えるチーズなので、何事も無くてもついつい常備してしまう魅惑のチーズが、パルミジャーノ・レッジャーノです。

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