上面中央がぽこんと凹んだ形が特徴の「ラングル」。ローマ時代から続く、フランス、シャンパーニュ地方の古い町“ラングル”を中心としたラングル高原で作られているウォッシュタイプのチーズです。ウォッシュとしては比較的穏やかな香りで、味わいも濃厚ながらマイルド。そして、すっと溶ける口どけの良さは、スパークリングワインとの相性が抜群です。今回は、チーズ初心者の方にも食べていただきやすいウォッシュ、「ラングル」についてご紹介します。

ラングル

ラングル
 


基本データ

  • 名称:ラングル(Langres)
  • タイプ:ウォッシュタイプ
  • 原産地:フランス、 シャンパーニュ地方(コート・ドール県、オート・マルヌ県、ヴォ―ジュ県の一部の村落)
  • 原料乳:牛乳(全乳)
  • 熟成期間:小型/15日以上、大型/21日以上
  • 固形分中脂肪分:最低50%
  • 出荷時の大きさ・形:小型/直径7.5~9cm、高さ4~6cm、重さ150g以上の円筒形。 大型(ラングル・クープ)/直径16~20cm、高さ5~7cm、重さ800g以上の円筒形。小型・大型ともに、上面に窪みがある。
  • ::春から晩秋にかけて(1年を通して入手はできる)
  • AOC(原産地呼称統制)取得年:1991年

どんなチーズ?

表皮はしっとりとして薄く、しわの寄った明るいオレンジ色。うっすらと白みがかっている。円筒形の上面にフォンテーヌ(フランス語で“泉”の意味)と呼ばれる窪みがあるのが一番の特徴。明るいクリーム色をした内層は、しなやかできめ細かく、口に入れるとすっと溶ける。表皮のすぐ下から中心に向かって熟成が進み、とろりと流れるような状態にもなる。そしてウォッシュらしい匂いは熟成とともに強くなる。食べると味は濃厚かつまろやかで、ミルクの風味やコクが広がる、とても美味しいチーズです。


名前の由来

もともとは、このチーズが作られている「ラングル高原」から付けられた。また、ラングル高原の中心地「ラングル」は、このチーズが作られ始めた17世紀当時の主な消費地であった。

 

製法

  1. 搾乳し、低温殺菌したミルクにレンネット(凝乳酵素)を加え、ミルクを固める。
  2. 固まったミルク(カード)を型に入れ、プレスはせずに、自然に水切りする。(テラコッタ製の型に入れるのが伝統的製法だったが、EUの規定で現在はプラスチック製の型しか使えなくなってしまった)
  3. 型から出して塩をする。
  4. 2~3週間、もしくはそれ以上の時間をかけて湿度の高い部屋で熟成する。熟成中、チーズを一度もひっくり返さない事で上面が自然に凹み、特徴的な窪み“フォンテーヌ”が形成される。また、アナトー色素(ベニノキから取れる濃いオレンジ色の色素。フランス語では“ロクー”)を加えた液体で表皮を洗いながら熟成させるうちに、徐々に黄色からオレンジ色へと色づいていく。 より個性的な味わいにするため、フォンテーヌに少量のシャンパーニュやマール・ド・シャンパーニュを注いで熟成させる事もある。


食べ方

  • 放射状にカットしてそのまま
  • 中央の窪みにシャンパーニュやマール・ド・シャンパーニュ(シャンパーニュを作る時のぶどうの搾りかすで作った蒸留酒)を注いで
  • サラダに添えて
いずれの場合も、食べる30分から1時間前に冷蔵庫から出して室温に戻してからいただきましょう。風味が開いて少し柔らかくなるので、より美味しく味わえます。


ワインとのマリアージュ

代表的なマリアージュは、同郷のシャンパーニュに代表されるスパークリングワインやブルゴーニュの赤ワイン。他には、ボルドー地方メドック地区の上質赤ワインをはじめ、シャルドネ種の厚みのある白や、ピノ・ノワール、そしてメルロー種等のフルボディ赤もおすすめです。

2012年の時点で、AOC(AOP)に認定されたラングルを作っているのは3軒のみ。そしてその生産量は年間465トンだけという、やや目立たないチーズです。しかし、印象に残るルックスとラングルならではの濃厚な味わいや口溶けの良さを知ると、もう忘れられない存在となります。シャンパーニュはもちろん、スパークリングワインを開ける時、ぜひラングルを一緒に試してみてください。きっと素敵なマリアージュが幸せな気分にしてくれるはずです。


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