スパンが狭いと家に居たくなくなる?
逆に狭いと、細長い羊羹(ヨウカン)型の間取りになるため、バルコニーに面した部屋(主LDK)はたいてい1室しかとれません。その他の部屋は真ん中の行燈部屋、外廊下に面した窓を開けては暮らせない部屋となってしまいます。このように狭いと圧迫感があり、長い時間室内にいるのがうっとおしく感じてしまいます。
間口がやや狭いプラン。ワイドプランと比べると、バルコニーの間口も狭くなってしまう。
ワイドスパンの住戸は少ない
実際にマンションの間取りを見てみると、狭いスパンの間取りはたくさんあるのに、広いスパンのものが意外に少ないことに気づきます。なぜ、そうなってしまうのでしょうか。マンションの売り手は、取得した土地に、建ぺい率、容積率を上限まで使いきり、一戸でも多くの販売住戸数が稼げるように設計します。たいがいのマンション用の土地は長方形に近い形状なので、スパンを広くとるより狭くとった方が、販売戸数を多くすることができるというわけです。
戸数は少ないけれどスパンが広く、住戸面積の広い大型間取りという発想もありますが、大きい分、販売価格は高額になってしまい、買い手がつきにくいのです。お金持ちが買い手となる高級立地以外には、収支が成り立ちにくいので、ワイドスパンを優先した間取りを敬遠します。
したがって、実際にあるワイドスパンは狭いスパンを優先して設計した結果、余ったスパンを活用することでできるものなのです。つまりワイドスパン=狭いスパン+余ったスパンなわけです。これがワイドスパンの少ない理由なのです。
販売戸数を増やすために、間口の狭い羊羹型プランのマンションが多い。
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