ストレス/恋愛・結婚生活・離婚問題のストレス

「恋人」が喜ぶほめ方、「パートナー」が喜ぶほめ方

恋愛時代のときのように、妻の良いところをほめたのに、なぜか妻は冷たい反応。こんなケースに心当たりがある場合、パートナーのほめるべきポイントを間違えているのかもしれません。「恋人」が喜ぶほめ方と、「パートナー」が喜ぶほめ方の違いとは?

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

ほめたのに喜ばないのは妻の機嫌が悪いせい?

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喜ぶと思ってほめたのに、妻はなぜ冷たく反応したのか?

友人から「最近、奥さんをほめてないんじゃない?」と言われ、「付き合っていた頃はよくほめてたけど、結婚してからは、さっぱりだな」と反省した夫。家に帰り、さっそく妻の良いところを並べて、ベタぼめしてみました。それなのに、妻の反応は冷たく、「なによ、わざとらしくほめたりして。ほしいものでもあるの?」と嫌味を言われてしまいました。

これは、夫のほめ方に問題があるからなのでしょうか? それとも、単に妻の機嫌が悪かったからなのでしょうか?

実は、ほめられてうれしいと感じる気持ちには、大きく分けて2つの種類の気持ちがあります。1つは、自分の良いところをほめられることで、「私は価値ある人間だ」と感じられてうれしくなる気持ち。これは、「自己高揚動機」が高められるためです。自己高揚動機とは、自分への肯定的な評価を集めて、自分の価値を確認したいという動機。たとえば、「美人だね」「仕事がデキるね」などと良いところを積極的に賞賛されると、自己高揚動機が高められてうれしくなるのです。

もう一つは、自分自身に感じる思いを、他人も同じように評価し、認めてもらえるとうれしくなる気持ち。これは、「自己確証動機」が高められるためです。自己確証動機とは、自分が自分に対して感じる思いを、他人にも同じように感じてもらいたいという動機。たとえば、「君はクールに見られるようだけど、実はとても優しい人だって知ってるよ」「君ならできると思うよ。芯が強い人だもんね」というように、「本当の自分」を理解してくれたうえで、評価してもらえると自己確証動機が高められてうれしくなるのです。
 

「恋人」と「パートナー」では求める言葉も異なる

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「私のこと本当に分かってるの?」と思われているのかも?

先の例で、妻をほめた夫に妻が嫌みで返したのは、「私の上辺だけをわざとらしくほめている」と感じてしまったからだと思います。
 
ちなみに、恋愛時代であれば、このほめ方でもOKなのです。なぜなら、恋愛がホットなうちは、相手が自分の「自己高揚動機」を高めてくれることに、愛情を感じるからだといわれています。「スタイルが良くてカッコいい」「美人でいい女」・・・・・・先ほどの妻も恋愛時代に戻れば、こうしたほめ言葉にグッと来るのかもしれません。

しかし、付き合いが深くなってくると、そのほめ方だけでは通用しなくなります。自分が自分に対して感じる評価と同じように、パートナーが自分を評価してくれること、つまり「自己確証動機」を満たしてくれることを期待するようになるからです。

いつも一緒にいるのに、「価値のある部分」だけをほめられても、「この人は、私をちゃんと見てくれていないのかも?」という不安や寂しさが募るだけで、パートナーとしての愛情を感じにくいのでしょう。「悪いところも理解したうえで、お互いを評価する」、パートーナー同士でこんな自己確証動機を満たし合うやりとりが交わされれば、愛情はさらに深まっていくのでしょう。
 

パートナーだからこそ贈る価値のある一言

ただし、「自己確証動機」を高めるほめ方をするには、日ごろから、相手をよく見て、ちょっとした行動の裏に隠れている微妙な心の動きにも、キチンと気付いてあげることが必要になります。パートナーの「本当の魅力」は、表面的に接しているだけでは見えにくいものです。

安易なほめ言葉で墓穴を掘らないためにも、パートナーにかけてしまいがちなほめ言葉を紙に書き出してみましょう。表面的なほめ言葉ばかりが浮かんでいるなら、パートナーの「本当の魅力」がよく見えていない証拠でしょう。

そうした場合、下の図のように、紙の左半分(A)にパートナーの良いところ、右半分(B)に悪いところを書き出して並べてみましょう。そして、その2つを踏まえて下の部分に、「A、Bを踏まえたパートナーの魅力」を思いめぐらして書いてみましょう。
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     パートナーへのほめ言葉をノートに書いてじっくり考えてみよう

それこそが、パートナーの「自己確証動機」を高めるほめ言葉であり、贈る価値のある一言です。良いところも悪いところも理解し合い、共に歩み続けるのが、男女のパートナーシップです。パートナーとの関係を大切にしたいなら、相手とじっくり付き合い、相手に関心を持つ気持ちが必要なのです。
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