ビタミンD不足が引き起こす、乳がんをはじめとした健康リスク
過度な美白信仰は、ある健康リスクを引き起こすことも……
ところが最近、 ビタミンD は骨の健康を維持する以外にも大切な役割があることがわかってきました。ビタミンD不足は甲状腺機能亢進症、1型糖尿病や関節リウマチなどの免疫系の病気、乳がんなどのがん、インフルエンザなどの感染症リスクを増加させるという報告が多く出ています。これはビタミンDがリンパ球などを活性化させ、免疫力を高めることと関連しています。
生活習慣病とも呼ばれる高血圧や心筋梗塞などの循環器系疾患なども、ビタミンD不足が関連しているという報告があり、健康リスクを回避するために1日1000IU(25μg)は摂取した方がよいという認識が徐々に浸透してきています。
現実的には難しい、日光浴でのビタミンD生成
ビタミンDを得るためには二つの方法があり、一つは「日光を浴びる」、もう一つは「食事やサプリメントから摂る」です。ビタミンDは太陽光(厳密には太陽光に含まれる紫外線)を浴びることで生成され、別名「サンシャインビタミン」と呼ばれています。株式会社SOUKENが行った調査(20~69歳の男女100名を対象に2012年9月実施)から、「1日平均して2時間以上日に当たる機会がある人にビタミンD不足は見られない」という結果が見られますが、日常的に2時間、日に当たる生活をしている人はそう多くはないでしょう。
加えて女性であれば、「美白」を考え肌を紫外線から守るUVケア、極力日光に肌をさらさない服装に日傘など、ビタミンD生成に不利な状況が山のように積み重なっています。下図調査からもその不足ぶりが事実としてうかがえるでしょう。
2012年9月、株式会社SOUKENが血中ビタミンD濃度を調査(必要十分と考えられる血中ビタミンD濃度は30ng/mL)。女性は約3人に2人が不足状態、4人に1人は欠乏状態という結果が判明した