マンションデベロッパーの対応
このような経緯の中で、マンションデベロッパーはどのように対応しているのだろうか。タワーマンションの構造設計では、あらかじめ長周期地震動の計算をした上で許認可を取るようにしていると聞くが、設計会社の運用に任せているケースが多いという印象が拭えない。そんななか、自社内に独自基準を新たに設けた企業がある。三菱地所レジデンスは、2011年8月30日付けで「長周期地震動対策の検討の有無」を独自の性能評価書「チェックアイズ」の構造欄に記載するようにフォーマットを改訂。また、タワーマンションのエレベーターは長周期地震動の検知センサーを設けるなど防災基準を見直したと公表した。
さらに、三井不動産レジデンシャルも同年12月15日に同様の発表を行うなかで、「超高層マンションに関しては、長周期地震動を勘案した構造設計を行ないます」と宣言している。
長周期地震動対策を明言したタワーマンションが登場
そしてこの秋、初めて「長周期地震動対策を施した」とうたったマンションが登場した。江東区東雲で進行中の「パークタワー東雲」だ。このマンションは43階建て、総戸数585戸の大型物件で、免震を採用した長期優良認定住宅でもある。具体的な対策としては、免震ピット内にオイルダンパーを数十台設置した。冒頭説明したように、長周期地震動は超高層だけでなく免震でも起こりえる。そもそも免震は、左右に揺れる際に引き抜こうとする力がアイソレーター(絶縁体)に加わることから、高くスレンダーな形状の建物には対策が必要な場合もあるといわれている。また、長周期地震動は建物構造の特徴だけでなく、地盤の状態も影響するといわれているので、購入検討の際はその適合度も確認されるとよいだろう。
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